ミイラといえばエジプトのファラオのものが有名だが、同様のミイラを作成する文化は世界中に存在している。
現在、世界最古のミイラを作成する文化を持っていたとされるものが南米のチンチョロ文化だ。現在のチリ北部アタカマ砂漠付近で狩猟生活を営んでいたとされており、紀元前7000年頃に勃興し紀元前5000年頃に文化的な発展を遂げた。
この発展の裏には気候変動があったとみられており、定住に適した環境になったことで文化が花開いたものと考えられている。なお、衰退は紀元前1000年頃と推定されている。
このチンチョロ文化にはミイラを作成する風習があったことが知られており、複数体のミイラが発見されている。
最も古いものは紀元前5000年頃に作成されたと推定されており、前述の古代エジプト文明が紀元前3000年に興っていることを考えると、チンチョロ文化のミイラはエジプトより更に2000年以上古くなる事になる。
チンチョロ文化のミイラは大半が幼い子供のものであり、繊維や藁の中に死体を詰め、顔や頭部をマスクで覆う形になっている。南米の他の地域でも、生贄として捧げられた子供のミイラが見つかっていることから、生贄ないしは有力者の子供をミイラにしたのではないかとする説も出てきている。しかし、未だ不明な点も多く調査研究が待たれる現状となっている。
だが、このチンチョロ文化のミイラは現在ある危機にさらされている。出土したミイラは厳重に保管されていたのだが、なんとミイラが溶け始めるという事態が起きてしまったのだ。検査の結果、湿度の上昇とバクテリアの作用によって侵食が始まったためと見られているが、保存条件は非常に難しく、対策に苦慮しているようだ。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
関連動画
Why 7000 years old Chinchorro Mummies Melting Into Black Ooze