閻魔大王様と言えば、日本人ならば、その名を知らぬ者はいないだろう。
悪人共が、死後に落とされる世界“地獄”の絶対的支配者であり、彼らの嘘を立ち所に見抜き、罰としてその舌を引き抜く存在であるという事を幼少時に両親や祖父母に聞いた時には恐怖した方も多かったのではないだろうか?
実際、筆者も幼稚園時代に、1976年1月3日~1994年9月24日までの長期間放送されたテレビアニメ『まんが日本昔話』において、たまたま見た地獄を題材にしたエピソード内で、悪人達に容赦なく罰を与える閻魔大王様の姿を見て以来、中学生の頃まではトラウマとして心に焼き付いてしまっていた。
さて、そんな大多数の日本人にとって畏れ多い存在と言っても過言ではない閻魔大王様を大胆にも正義のヒーローに敵対する“悪”として描写してしまった昭和特撮が存在する。本記事では、それらについて紹介していきたいと思う。
まずは、1973年4月6日~1974年4月5日までTBS系で放送された『ウルトラマンタロウ』の第14話「タロウの首がすっ飛んだ!」である。
このエピソードは、江戸時代に多くの人々を苦しめたという罰で、長年お地蔵様の神通力によって地底に閉じ込められていた怪獣エンマーゴが、現代に復活し、ウルトラマンタロウと戦うという内容だ。
劇中の設定では、“怪獣”に分類されるものの鎧に身を包み、剣と盾で武装した容姿のエンマーゴは、今まで視聴者が抱いていた怪獣のイメージとは全くかけ離れる異質のモノで、日本人が恐怖の対象とする“閻魔大王様”そのものであった。とりわけ、タロウの首を斬り落とす所業には、当時の子供達にはトラウマとして焼き付いた事は想像に難くない。
続いて紹介するのは、1978年5月17日~1979年3月14日までテレビ東京系で放送された東映版『スパイダーマン』の第37話「地獄からの密使えん魔大王」だ。
タイトルからして、「罰当たり感」漂うのだが、本編も地獄からやってきた大王が劇中に登場する悪の組織「鉄十字団」と手を組み世界征服を企むが、スパイダーマンに倒されるという悪の怪人扱いされるという罰当たり感満載のエピソードであった。
また、特撮マニアには有名な話ではあるのだが、前述した『ウルトラマンタロウ』の第14話の撮影時、スタッフ達を乗せた車が、コンニャク畑に突っ込み、乗車していた数名が軽傷を負った事故が発生した。
閻魔大王様の好物は、コンニャクと知られている事から、この件は「閻魔様を怪獣扱いした祟りではないか?」と特撮界では語り継がれている。
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(サブカルライター:平山賢司 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)