1972年より連載開始された水島新司先生のライフワークとも言える人気野球漫画『ドカベン』が今月28日発売の週刊少年チャンピオンで最終回を掲載し、46年という長期連載の歴史に幕を下ろすこととなる。ATLASの読者諸氏の中には、その漫画史に未来永劫刻まれるであろうラストを見届けた方も多いと思われる(ただし、この記事を執筆時点では、掲載号の発売前のため、筆者は読んでいない)。
そこで、本稿では、『ドカベン』の連載終了を祝して「週刊少年チャンピオン」部門より、1990年10月26日に発売されたファミコンソフト『水島新司の大甲子園』を紹介させて頂きたい。
このソフトは、題名通り、『ドカベン』と並ぶ水島先生の代表作である『大甲子園』をベースとしており、山田太郎や岩鬼正美など水島野球漫画キャラが総登場する、ファンにとっては゛夢のオールスター″と呼ぶに相応しい力作なのである。
本作が、他の野球ゲームと一風変わっていたのはジャンルをアクションではなく、シュミレーションにしていた事が挙げられる。
スポーツゲームは、その題材ゆえに、アクションとなる傾向になりがちなのだが、それではアクションが苦手な作品のファンにとっては敷居の高い物となってしまう。その点をクリアすべく本作は、アクション性を必要としないシュミレーションゲームとして発売された。
ゲーム内容としては、投手が投球コースをコマンドで選択し、それに対して打者が的確なミートゾーンなどを、やはりコマンドで選択して、試合を進めていくというシステムを採用してる。また、各キャラのグラフィックは、ファミコンのドット絵にしては、クオリティーが高いので、野球ゲーとしても、キャラゲーとしても良作として完成されてるのではないか?と思う。
個人的な見解だが、本作が、このような内容としてメーカーが商品化に至ったのは、その2年前となる1988年に発売されたファミコンソフト『キャプテン翼』のヒットの影響もあったと思われる。
この通称『キャプ翼』も、サッカーとビィジュアルシーンを見事に融合させたシュミレーションゲームとして、原作ファンの腐女子にも大ヒットしたのだ。
今回の2作の事例から判断するに、スポーツ漫画のゲームは、本来ゲームとしては適切なジャンルと言えるアクションよりも、シュミレーションの方が原作ファンにとっては、好まれるようだ。
『水島新司の大甲子園』も、水島作品ファンにとっては、今でも楽しめるゲームだと思うので、近いうちにリメイクされることを切に願う。
(平山賢司:サブカルライター ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『水島新司の大甲子園』