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柔道部からスタートした「ドカベン」、実は最初から野球漫画だった?

2022年に逝去した漫画家水島新司の代表作の一つとして『ドカベン』は欠かせない。週刊少年チャンピオンにて1972年から連載されていた本作は、主人公ドカベンこと山田太郎が所属する野球部の、全国の強豪校との戦いを描く野球漫画である。

その後、大甲子園、プロ野球編、スーパースターズ編とシリーズ化していき、ドリームトーナメント編を経て2018年に完結を迎えた。

野球漫画「ドカベン」が、当初は柔道漫画であったという話は非常に有名である。「ドカベン」の連載がチャンピオンで開始された当時、水島はライバル誌である週刊少年サンデーにて、すでに「男どアホウ甲子園」という野球漫画の連載をしていた。加えてチャンピオンの方でも、すでに別作者による野球漫画が連載されていたとも言われている。これによって、「ドカベン」は野球漫画として連載を始めることができなかったという。

ところが、「柔道漫画」と呼ぶには少々疑問であるとの意見もある。

物語は、鷹丘中学校に山田が転校してきたことから始まるが、山田が柔道部に入部した理由は、弱小でありかつ人員的にも危機的状態であった柔道部から入部を懇願されたためであった。ある事情から岩鬼も入部することとなり、大会で優勝をするなどしばらく柔道編が続くこととなる。




そんな時、ある人物が現れ、実は山田が前の学校で野球部に所属していたことが明らかとなった。柔道着でいる山田に詰め寄った彼は、ある因縁から山田に対しライバルであることを言い残して去っていき、その彼の思いから山田は改めて野球部に入部することとなった。

この大筋からみると、どうやら通常イメージするような柔道で頂点を目指すというような「柔道漫画」と捉えることは難しいのではないだろうか。しかも、作中では野球部の練習風景も描写されており、その特訓に柔道部が駆り出されている描写もあるのだ。要するに、当初から野球描写は随所になされていたのである。

そのため、当時の読者の中には「もうすぐ野球漫画になるかも」と思った人もいたようである。さらには、ドカベンは最初から野球漫画であり、柔道部編は長い導入(あるいは蛇足)に過ぎないという意見すら見られる。

野球漫画として大きく切り替わったのは、当時の担当編集者が水島=野球というイメージを嫌がっていたものの、得意な野球を描いてという編集長の声によって転換されたものであると言われているが、水島にとってはまたとないチャンスとなったのかもしれない。

結果として、「ドカベン」は当初の柔道イメージが取り払われ、野球漫画としてその地位を確かなものとしていったのだ。

【参考記事・文献】
ドカベンは柔道漫画だった?
https://okwave.jp/qa/q9853410.html#goog_rewarded
ドカベンが野球漫画になった真相
https://ameblo.jp/mojikita-wrestling-club/entry-12722066941.html
漫画家・水島新司さんの「ドカベン」秘話 野球漫画の金字塔…連載当初は柔道漫画 山田太郎のモデルは田淵幸一氏か
https://www.zakzak.co.jp/article/20220118-L2BHLIKTU5IYTH6OMHDY2AS2RA/

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【文 ZENMAI】

画像『ドカベン (6) (少年チャンピオン・コミックス)