Nさんは奥さんに、娘の会話のことを話した。
「気持ち悪いわ。こんな偶然があるのかしら。そう言えば・・・」
奥さんは急に青い顔をして黙り込んでしまった。何があったのか聞いてみると、今日の夕方、娘が同じような変な会話をしていたのだという。
今度は、Nさんの古くからの友人Aさんに何かが起きる話だったという。Aさんは度々Nさんの家に遊びにきていて、娘もよく懐いていた。奥さんもその会話を耳にして不気味に思ったらしく、娘を問いただしたがよくわからないことを言っていたらしかった。
「もうそーつ、になるって」
娘はそんなことを言っていたのだという。「もうそーつ」とは何なのか、奥さんにはわからなった。
Nさんも同じだった。いったい何を意味しているのか皆目検討がつかなかった。友人の身に何か起きるのではないか。そんな漠然とした嫌な予感に襲われ、友人に電話をして警告しようかとも思った。
だが、結局できなかった。いったいどのように説明したら良いのか分からなかった。
「娘がおもちゃの携帯でこんな会話をしていたから、気を付けた方が良い」
会話をイメージすればするほど馬鹿らしくなって、やめてしまった。
(※続く)
(監修:山口敏太郎)
画像©PIXABAY