日本を代表する名女優・岩下志麻が4月19日放送の『ゴロウデラックス』(TBS系)に出演。岩下が主演した映画『卑弥呼』で見せた「狂気の演技」について語る一幕があった。
この日の『ゴロウデラックス』のゲストは、岩下志麻および時代劇研究科の春日太一。先日、春日が執筆した岩下の研究本『美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道』(文藝春秋)の宣伝を兼ねての出演だった。
番組では岩下の徹底した「役作り」に焦点が当てられ、話は1974年公開の岩下主演映画『卑弥呼』(篠田正浩監督)での卑弥呼役の話題になった。岩下はこの映画で邪馬台国の女王・卑弥呼を白塗りメイクで演じたのだが、演じるにあたっての岩下の役作りエピソードが「凄まじい」と春日は紹介していた。
岩下は卑弥呼役のオファーを引き受けたが、困り果てたという。卑弥呼は1800年以上の前の人物で、彼女の人柄や性格を残した資料は残されていないため、名女優の岩下でも、役作りの入口がどこにあるのかわからなかったからだ。
そこで岩下が考えたのが「霊界へのアプローチ」。なんと卑弥呼に直接コンタクトをとるべく霊媒師のもとへ行き、卑弥呼の霊を自分の体内へ降してもらおうと考えたという。
岩下はさっそく知り合いの霊媒師の元へ行き「私に卑弥呼の霊を降ろして欲しい」とお願いしたが、卑弥呼の霊は岩下の体へは降臨せずに、代わりに岩下の連れてきていた事務所スタッフ達に異変が・・・。なんと、スタッフはうめき声をあげ、畳をもの凄い勢いで掻きむしり始めたという。
その鬼気迫った男性スタッフの表情にヒントを得た岩下は、白塗りで獣のように唸り声をあげて這いずり回るという狂気の卑弥呼像を完成させるに至ったというのだ。
岩下の代わりに卑弥呼の霊に憑かれてしまった男性スタッフは気の毒であったが、その鬼気迫る迫真の演技は今も映画界で伝説として語り継がれている。
(文:パンダ・レッサーパン・ダグラフ ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)