その1から続く
突然の話しにFさんは、驚くしかなかった。
なにより驚いたのが、その事故の内容だった。山道を自転車で走っていて崖から転落死したのだという。
だが、そのバイト仲間は市街地に住んでいて、その死亡した場所は同じ県内だが、遠く離れていて、とても自転車で行くような距離ではなかった。それに乗っていた自転車も今でいうママチャリのようなもので、また死んだ友人は自転車で峠道を走ることを趣味にしていたわけでもなかった。
それから1週間ほど経ったころ、沈んだ気持ちのまま過ごすFさんの元に、再び訃報が届いた。
Fさんのサークルの友人が、高速道路を車で走行中に壁に激突して死亡したとのことだった。その死には今回も不審なところがあった。警察の調べによると、直接の死の原因は窒息死だというのだ。
何かの拍子にシートベルトが首に巻き付いてしまい、それが原因で壁に激突したと推測されたのだという。
自分の周囲で2人も立て続けに死亡者が出たことに、Fさんは悲しんだが、同時にどこか不気味な感覚を覚えていた。
部屋の中で死んだ2人の友人のことを考えていると、ふと目の前にかかっている絵に違和感を覚えた。絵と2人の死がどこか符合するような気がしてきたのだ。
1枚目の飛行機に乗る人間の絵。これは飛行機ではなく、自転車で崖から転落している人間を描いたものなのではないか。
2枚目の絵の四角は車を現していて、その中にいる片方の人間が死んでいるところを描いているもののようにも思えた。
Fさんは戦慄を覚えたが、一方で「まさか、そんなことがあるわけがない」とその考えをすぐに振り払おうとした。
なにせ抽象的に描かれた絵なので、どんな風にも解釈出来る。きっと立て続けに友人が死んだショックで、そんな考えを持ってしまっただけなのだろう。そう結論付けた。
それに死んだ友人達は2人とも1人で乗り物に乗っている時に死んでいて、絵の中に登場するもう1人の人間が説明できなかった。だが、そんなFさんの考えを打ち消すような事が起きる。
またもやFさんの周囲の人間が死亡したのだ。(※続く)
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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