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インドの抒情詩に登場する奇妙な鬼神「カバンダ」





カバンダはインドの叙事詩「ラーマヤーナ」などに描かれている、胴体と顔が融合したような奇怪な姿をした羅刹(インドにおける鬼や悪魔のような存在)である。

本来はインドラ神に仕えるガンダルヴァという精霊の一人で、天上の世界で音楽を奏でる楽団の一員であった。

優れた音楽の才能を持っていたことから、ブラフマー神から不死の力を授けられるのだが、死ぬことがなくなったことで傲慢になり、主であるインドラ神に戦いを挑むようになってしまう。

インドラは怒り、雷の力が宿るヴァジュラ(金剛杵)で殴りつけた。すると、そのすさまじい衝撃で頭部が胴体にめりこみ、このような奇妙な姿になり、地上に落とされたのだという。






カバンダは人々を食い殺す羅刹となるが、死後に再びガンダルヴァに転生したと言われている。

「ラーマヤーナ」ではこれとは異なり、仙人の呪いによってこのような姿にされたのだ書かれており、物語の中で重要な役目を担っている。

物語の主人公ラーマが羅刹の王に奪われた妻のシーターを捜す旅の途中で、カバンダを含む羅刹の集団に遭遇し、戦いになる。この戦いでカバンダはラーマたちに腕を斬り落とされ、瀕死の傷を負う。

カバンダは自分の体を火にくべてもらえるよう頼み、ラーマはその願い通り火葬にした。

すると、その炎の中でガンダルヴァの姿になって再生し、羅刹王を倒すためにはより強大な力が必要になるとして、猿の王ハヌマーンに会うようラーマたちに助言したのであった。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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