2月17日午後9時からフジテレビ系列で放送された特別ドラマ『眠狂四郎 The Final』が全国の視聴者から猛ツッコミを受けている。
『眠狂四郎 The Final』は、現在74歳の田村正和が、今からほぼ半世紀前の1972年に主演した自身のアタリ役の眠狂四郎を再び演じるという話題作だった。今回の番組では、田村が20代の頃に演じていたニヒルな剣士・眠狂四郎をどのように演じるのか、放送前から大いに注目されていた。
ところが放送直後、このドラマのキャスティングに違和感を唱える視聴者が続出。その要因は田村の実年齢を考えると、あまりに無茶すぎる配役が続出したためである。
例えば、今回の敵である狂四郎と同じ「円月殺法」の使い手である加賀美耀蔵は狂四郎の弟という設定があるのだが、演じていたのは田村より20歳以上も年下、53歳の椎名桔平だったからだ。
いくら田村の見た目が若いといっても、椎名が実の兄弟というのはさすがに無理があり、視聴者の間では「親子にしか見えない」など、噴飯物だったようだ。
トドメのツッコミどころは眠狂四郎の祖父である、松平主水正だった。こちらはなんと、田村とわずか4歳しか年の離れていない、77歳の津川雅彦が演じていたのだ。
ここまで来るともはや時代劇というよりは、タイムトラベルもの、もはやSFの世界である。
では、なぜこのような事態になったのか・・・理由は至極簡単である。眠狂四郎は永遠の35歳であり、田村主演の1972年版から続くそのままの設定にしたことで多くの視聴者に違和感を持たせてしまったのである。
ただし、主演の田村は74歳という年齢をあまり感じさせない見事な立ち回りと殺陣を披露し、キャスティングの違和感のみに目を瞑ればドラマとしてはさほど悪くない出来栄えだったという。
最近の時代劇というと、既に故人となった藤田まことの「中村主水」をCGと過去のVTRで無理やり復元させた『必殺仕事人』が批判されるなどしていて、スペシャル感だけを優先させた時代劇が立て続けに作られている。
(文:江戸前ライダー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『眠狂四郎異端状 (集英社文庫)』