妖怪・幽霊

【桜金造の心霊体験】5センチの幽霊、その話を聞いた佐山俊二が亡くなった!

桜金造と言えば、かつてあご勇のコンビ「アゴ&キンゾー」で人気を博したお笑い芸人だ。「おや〜ま遊園地♪」というギャグは中高年には懐かしい。

そんな金造は怪談の語り手としても有名だ。中でも「5センチの幽霊」は、かなりのインパクトがある。

かつて金造は、名古屋で長期公演をしていた時期があった。共演者たちはホテル組と旅館組に分かれて宿泊していたが、ホテル組は帰って飯を食って寝るだけで、すぐやることがなくなってしまった。一方、旅館組はみんなで一緒に大浴場に入ったり、食事も大食堂で一緒にワイワイガヤガヤ食べているという。なんだか旅館の方が楽しそうなので、金造は旅館に移りたいと思うようになっていた。

(あ~あ、オレも旅館に泊まりたいなぁ)

旅館組には昭和の名芸人といわれた由利徹や佐山俊二がおり、彼らが言うにはまだ空いてる部屋があるらしい。

「階段上がって右の部屋が空いてるよ」

その話を聞いた金造は、ホテルから移りたくて仕方なくなった。公演の関係者に聞いても、旅館の方が宿泊費が安いので、ホテルから移ってもいいと言われた。そこで公演の楽屋にしょっちゅう出入りしている旅館のご主人に直談判してみた。

「おじさん、僕も旅館に泊めて下さいよ。部屋も空いてるんでしょう」

金造の頼みに旅館の主人は大層困った顔をした。

「うん、部屋は空いてるけど・・・空いてないんだ」

どうにも歯切れの悪い話だ。金造は半ば強引に荷物をまとめると、ホテルから旅館の階段を上がって右の部屋に移動した。




その夜のこと、金造が寝ていると何やら異変を感じた。

(おやっ、何か枕元にいるぞ)

金造が部屋のテレビのブラウン管に目を移すと、そこには自分の枕元が写っている。そして何やら怪しげなものも写り込んでいるのである。

(よしっ、自分の目で確かめてやる)

意を決して枕元を見ると、赤い長襦袢を着た女が横向きに座っている。しかも、その女は身長が5センチしかない。あまりに小さい大きさなので、顔などはハッキリとわからない。そしてしきりに何か言っている。

「どれ○○、どれ○○」

声が小さすぎてよく聞き取れないが、女は「どれほど」、あるいは「どれだけ」と言っているように聞こえた。翌朝目を覚まし、食堂で旅館のおばちゃんから話を聞くとこんな事実を教えてくれた。




「この旅館はもともと遊郭だったの。だから遊女の霊が出るのよ。特に階段上がって右の部屋は幽霊が出るのよ」

もはやこの旅館では泊まれない。と思った金造はホテルに戻ることにした。そして楽屋で共演者たちに昨日見た5センチの女の幽霊に関して話をしていると、誰もが

「5センチの幽霊だって、まさかぁ」

一笑に付されるだけで誰も信じようとしない。しかし佐山だけが一言こう言って信じてくれた。

「そういうこともあるかもしれないね」

その夜、佐山は急死してしまった。

なおこの話に関しては、業界内部で異論があるという。佐山は金造に話を聞いた夜に死んだわけではなく、その芝居の公演中に亡くなったという異論もあることを併記しておく。

なおアトラスでは小人に関する記事を何回か掲載している。「大宮八幡宮と小人伝説」「人に保護された小人」「ハワイの小人、ハワイの河童」「宇宙服を着た小人」「小人はほんとに実在するのか、ノーム30年前の目撃事件」などが人気のアーカイブだ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)