岩に突き刺さった選定の聖剣を引き抜く事で特別な英雄と判明する――イギリスのアーサー王伝説に始まるこのモチーフは、現代でもゲームやマンガなど創作の世界でよく見ることができる。
そんな「岩に突き刺さった伝説の剣」が実在している場所がある。
それがイタリア・トスカーナ地方のサン・ガルガーノ修道院近くに存在するモンテシエピ礼拝堂だ。ここでは堅い岩に錆び付いた剣が深々と刺さっている、正しく伝説に登場する光景を目の当たりにすることが出来るのだ。
1180年頃、裕福な貴族であり勇敢な騎士でもあったガルガーノ・グィドッティの夢に頻繁に大天使ミカエルの姿が現れるようになった。夢に導かれるように旅に出た彼の前に大天使ミカエルが降臨、彼を現在礼拝堂が建つ場所へと導いた。
ガルガーノは携えていた剣を目の前の岩に突き刺し、以降はその剣を十字架に見立てて祈りを捧げ続ける隠者生活を送るようになる。そして彼は33歳の若さで天に召され、聖人の一人に選ばれる事となった。
この剣は現在もモンテシエピ礼拝堂の中に存在しており、岩ごとガラスで覆われた状態で見ることができる。
この剣はさすがに伝説をもとに後世の人々が再現したものではないかと考えられていたが、トスカーナ大学による調査の結果、実際に当時のものである事が判明。地下に謎の空洞が存在することなどが確認されている。
(加藤史規 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©Wikipedia La spada nella roccia.