円広志と言えば、「夢想花」の大ヒットで知られる歌手だ。関東では露出があまりないが、関西では人気のある司会者としていろいろな番組で今も活動中である。
そんな円広志がやばい心霊体験をしたことがある。
それは、作曲活動するべく東村山市に向かった時の話である。10日ほど泊まり込みで作曲をしたかったのだが、行く旅館行く旅館全く空いていない。何軒も断られてようやく最後の一軒にあたったところ、そこだけは誰も泊っていない旅館を見つけた。
「どの旅館も満員なのに、ここだけ誰も泊まってないなんて・・・なんか変だな」
そう思いながらも、その旅館に10日ほど泊まることに決めた。二階に上がると大人数用が宴会できる広間があり、その大広間に向かい合うように小さな部屋がたくさん並んでいた。そして、ある1室を陣取ると円は作曲を始めた。
「ジャン、ジャン、ジャン、ジャン♪」
ひとしきりギターを弾いて曲を作っていると、大広間の方で大勢の人間が歩きまわるような足音が聞こえた。
(あれ、誰かいるのかな?)
旅館の人は夜になると自宅に帰ってしまい、誰もいないはずだ。ましてや宿泊客は自分以外いないはずである。そこで障子を開けて大広間に行ってみると、真っ暗で誰もいない。
(おかしいなぁ、たくさんの人がいたような気がしたけど)
また再び部屋に戻ってギターを鳴らして作曲を始めた。ある程度曲が出来て休んでいると、またしても奇妙な音が聞こえる。
「ドタドタドタドタ」
そこで二階の部屋の窓を開けてみた。すると旅館の裏側は高台になっており、眼下に一面ズラリと墓場が広がっていた。
(あかん、これはもうガマンの限界だ)
完全にビビった円は荷物をまとめるとその旅館から脱出することにした。二階の部屋から一階の出口まで恐ろしくて何度も往復できないので、荷物を1回で済むように両手いっぱいに持って逃げ出した。
アトラスでは過去に旅館の心霊体験を掲載している。「中尾彬が京都で遭遇した心霊体験」「さまよう魂が招く温泉旅館」などが代表的なアーカイブだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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