中井貴一と言えば、時代劇からコメディーまで幅広い役柄をこなす名優である。彼の父・佐田啓二も戦後日本の映画界を背負ってたった二枚目俳優だった。
その佐田啓二と名監督・小津安二郎の間の知られざる秘話が中井貴一の口から語られた。
2018年1月5日、TBS系列で放送された「ぴったんこカンカン」にて披露された話だ。
中井貴一の父親である佐田啓二は、ある女性に好意を寄せていた。大船撮影所の向かい側にある食堂の看板娘がひどく気にいっていたのだ。
京都出身だった佐田は、同じ京都弁をしゃべるその看板娘にすっかり惚れてしまったという。
その看板娘は小津安二郎監督のお気に入りであり、既に名監督の呼び声が高かった小津は、その食堂にいつも入り浸っていた。原節子がデビューする時も、その髪型を看板娘と同じ髪型にしさせたくらいの、看板娘へ相当なお熱の入れようだったようだ。
佐田はその当時まだまだ駆け出しでりあり、小津監督が食堂に来ている時間帯は恐れ多くて近づけなかった。看板娘と楽しく話しこんでいても、監督が来たと聞くと食堂の裏口から逃げ出す始末だった。
いよいよ結婚する段階となって、覚悟を決めた佐田は、勇気を振り絞って小津監督に看板娘と結婚するから許してくれと、挨拶に行った。
すると監督はあっさり許可をしてくれた。
それ以来、佐田は小津監督と親子のように仲良くなった。そしてこの2人の間で生まれた息子が中井貴一なのだ。
映画監督に関する過去記事はアトラスで何度か掲載している。「新海監督のお相手は?」「有名ロリコン監督は取材先でも幼児をチェック」などが人気のアーカイブだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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