わいらは鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にて紹介されている妖怪。
木の陰からぬっと上半身を覗かせた様子が描かれている。犬に似た顔をしており、大きな口からは牙が生え、また大きなかぎ爪が一本あるだけの特徴的な前足をしている。
代表的な『画図百鬼夜行』に掲載されていることもあり、妖怪としては現代でも知られたメジャーな部類になるのだが、この妖怪については名前以外には何も記されておらず、また他の文献でも名前以外の詳細は不明となっているので謎に満ちた妖怪と言えるのだ。
そのため、昭和以降の妖怪関連の文献では「年を経たガマが霊力を得て妖怪化したもの」、「前足のかぎ爪で土を掘り返して小動物を食べる」等のビジュアル面から推察された解説がされている事が多い。
勿論、これらの特徴については執筆者の創作によるものと判明している。
なお、オカルト研究家の山口敏太郎氏は名称と姿形から、当時の舶来の書物にあったアリクイの姿をベースに描かれた物ではないかと推測している。
(監修:山口敏太郎/飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「わいら」©Wikipedia