シャーロック・ホームズシリーズで有名なイギリスの作家コナン・ドイルには、オカルト絡みの様々な逸話がある。
有名な所ではコティングリーの妖精事件がある。
コティングリーに住む少女達が森でよく遊ぶという妖精の写真をカメラで撮影することに成功。乾板には偽装の痕跡がなく、コナン・ドイルも写真を鑑定して本物であると太鼓判を押していた。だが実際には妖精写真は一枚を除き、非常に単純な仕掛けで撮影されたトリック写真だった。
コナン・ドイルの親族には妖精をモチーフに作品を出していた者がおり、幼い頃から作品に親しんでいたコナン・ドイルも妖精の存在を信じていたため妖精写真を本物であると認識してしまったのではないかと見られている。
また、コナン・ドイルには作品にまつわるこんな逸話も存在している。
コナン・ドイルはスイスに滞在中、ゲンミ峠という場所のある宿に泊まった。この峠は冬場は3ケ月は外部と交通が遮断されてしまうらしい。ドイルはこの話にインスピレーションを得て、憎しみあう者が雪の為、ひとつの宿に閉じこめられるというストーリーを思いついた。
さて、彼がスイスからの帰り道に何気なく本屋に寄ったところ「宿屋」という本を見つけた。何となく興味をそそられた彼は購入し、自宅で読んでみた。するとなんとモーパッサンの本であり、物語の内容はドイルの考えたものとまったく同じであった。そしてモーパッサンもコナン・ドイルと同じ宿に泊まった際に受けたインスピレーションをからこの話を書き上げたのだと語っていたのだ。
二人の作家が同じような話を思い付いたゲンミ峠の宿、この場所には人間の意識に働きかけるような「何か」が存在していたのだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Wikipedia 「コナン・ドイルの心霊写真」Spirit photograph taken of Sir Arthur Conan Doyle by Ada Deane, 1922