かの有名な妖精写真は、昭和の子供たちに大きなトラウマを与え、妖精は実在するんだと思い込ませた衝撃的な写真であった。
1916年7月、イギリス・ブラッドフォード近くのコティングリー渓谷にて、地元の少女・フランシス・グリフィス(16歳)と、その従姉妹であるエルシー・ライト(11歳)によって、この写真は撮影された。
彼女たちは妖精たちが踊ったり、舞っている写真を1916年から1920年の間に全部で5枚撮影したのだが、この写真に騙されたのが、『シャーロック・ホームズ』シリーズで有名な推理作家のアーサー・コナン・ドイルだった。
かつて冤罪の人物を救った程の推理力を持ったドイルだが、当時は心霊に傾倒していた事もあり、この写真にのめり込んでしまう。
ドイルが写真の専門家たちに、二重写しの可能性を検討させ、その可能性が無いとわかると、1920年12月、「ストランドマガジン」に、ドイルは妖精の写真を本物として発表した。
幾つかの反論が出たものの、ドイルは死ぬまで本物と信じきっていた。
この写真の真相は時代と共に暴かれていく。1978年にコンピューターを使って分析をすると、妖精に陰影がなく、光りの当たり具合から平べったいものであると解析された。
また原版であるガラスプレートのネガを分析してみると、妖精の輪郭が明確であったことから妖精がまったく動いていない、つまり紙のようなものである事が判明した。
また、1917年当時、エルシー・ライトは、近所の写真館でアルバイトをしており、写真の技術を持っていた事もわかった。
更に、この妖精たちとまったく同じ姿をした妖精が掲載された絵本『Princess Mary’s Gift Book』(1915年発行)も確認され、妖精写真の信憑性は崩壊した。
1983年4月4日、タイム誌にフランシスとエルシーの告白文が掲載された。絵本の妖精を模写し、帽子止めのピンで固定して撮影していた。妖精は20世紀と共に消え去ったのだ。
関連動画
Mystery’s Explained Episode 2 The Cottingley Fairies
※写真はYOUTUBEからのキャプチャ
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