ロシアの首都モスクワの郊外に、引き上げられ荒れ果ててしまったとある廃墟が存在する。この建物からは、かつて謎めいたある電波放送が発信されていた。1970年代から現在に至るまでほぼ毎日、24時間365日延々と流れ続けている謎のブザー「UVBー76」だ。
通称「ブザー」とも呼ばれているこの放送は短波4625kHzで流れているのだが、その内容は単調なビープ音やシグナルが響くのみ。時報のような一定のリズムがあるわけでなく、ただ音が途切れることなく続いているだけなのだ。この放送は1970年代のいつ頃からか発信され、1982年に現代まで続く2秒感覚のブザーになった。
1990年代初頭には1分間に25回の周期で鳴るサインシグナルに切り替わるなど、ブザーの内容は不規則に高周波音や低周波音に変わるため、単調に機械が発しているだけではないであろうことが判明している。
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UVB-76(The Buzzer)_ブザー音記録 – YouTube
何を告げているのかも解らない放送内容にも関わらず、ただ機械的に発されている「ブザー」の正体については様々な説や噂が流れていた。旧ソ連時代から続く軍の極秘指令や暗号放送であるという説や、地球の電離層に電波を発信して変化を測定しているのではないかという説が出てきているが、数回だけ謎の短いメッセージが流れた事がある。
1997年12月、急に女性の声による短いメッセージが流れたのだ。その後も2002年9月、2006年2月にも意味不明な言葉が流れている。また、1990年代後半にこの放送がモスクワ近郊の立ち入り禁止区域から発信されている事が特定された。これらの事実から、やはり軍事や諜報、暗号放送なのではないかと噂されたが、放送電波の質を考えると軍事機密等である可能性は低いと見られている。
あまりにも途切れないため、2010年6月5日にブザーが突如停止したときはそれだけで世界中でニュースになった。しかしこの時も翌日には再開され、現在も発信され続けている。
果たして、誰が何のために放送し続けているのか。真相が明らかになる日は来るのだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)