アメリカの都市伝説に『バニーマン(Bunny Man)』というものが存在する。
うさぎの着ぐるみを身に着けた怪人であり、可愛らしい外見とは裏腹に斧やチェーンソーなどの凶器を振り回し、人間を襲うとされている、シリアルキラー系の都市伝説である。
アメリカ・バージニア州のフェアファックス郡クリフトンやメリーランド州で噂されているもので、夜中にノーフォーク・サザン鉄道のフェアファックス・ステーション・ブリッジ、俗に「バニーマン・ブリッジ」と呼ばれる橋に近づくと前述の格好をした怪人『バニーマン』が現れ、斧で襲われると言われている。特に毎年ハロウィンの時期になると、仮装する人が街に溢れて紛れやすくなるためか、出現率が上がり手にした武器で子供を惨殺すると言われている。
この『バニーマン』の都市伝説が産まれた背景には、実際に同様の扮装をした人物による事件が起きたというものと、1904年に起きた受刑者脱走事件が関係しているという説がある。
1904年にクリフトンにあった刑務所が閉鎖され、犯罪者たちが違う刑務所に連行される際に脱走。それと前後して前述の橋にウサギの惨殺死体が発見されるようになる。その後、脱走していた受刑者の一人が手に斧を握らされた状態で殺されているのが発見された。残る脱走者が容疑者となって捜査がなされたものの、結局捕まる事はなく捜索は中断された。しかし、その後も現場近くではウサギの惨殺死体が時々見つかったという。この犯人を恐れた人々が語り継いだ結果、都市伝説『バニーマン』が誕生したとされている。
この『バニーマン』の噂は一度沈静化したものの、1970年代に再び目撃証言が発生して現地の人々はパニック状態になったという。
また、都市伝説の舞台となっている「バニーマン・ブリッジ」にて、伝説の『バニーマン』を思わせる写真が近年撮影され、話題となっている。『バニーマン』は都市伝説の存在ではなかったのか? 実在した何者かだったのか?
現地では今でも多くの人々がこの怪人を恐れているという。