ミクロネシア連邦ポンペイ州に存在し世界遺産にも登録されているオセアニア最大の遺跡、ナン・マドール遺跡群(ナンマトル、ナン・マタールとも)。
西暦500年頃から当時の王朝によって築かれたこの遺跡は1200年頃に最盛期を迎え、1500〜1600年頃まで多くの巨石記念物が築かれていった。ナン・マドール遺跡は玄武岩とサンゴや砂で海を埋め立てて築かれた人工島の上に存在しており、その数は100以上。様々な役割を持つ巨石記念物は重さ数トンから数十トンもの玄武岩柱を積み上げて創られており、どのような技術によるものなのかはわかっておらず、未だに研究が続いている。
未だに謎が多い遺跡であるため、ムー大陸等の失われた文明と一緒に考えられる事も多いが、現地の人からはこの遺跡は畏怖の対象になっているという。というのも、この遺跡は「幽霊が住む都市」だというのだ。
地元の人々の伝説によれば、この遺跡は神であり優れた魔術師であった二人の兄弟、オロシーパとオロショーパが共に魔法の力で巨大な石を宙に浮かせ、組み上げて築き上げたとされている。この地には精霊や祖先の霊が住む領域であったことも、建築場所に選んだ理由に含まれていたようだ。その後、後代になって悪政を行う王が出現、やがて戦争となって王は英雄に敗れることとなった。
その後も人が住んでいた期間はあったようだが、やがてナン・マドールからは人が去り、首長であるナーンマルキの間に伝説として残されて現在に至っている。
戦争があったという伝説のためか、精霊や祖先の霊が住む地であるためか、現地の人々は夜になると遺跡に多くの幽霊たちが現れる、「幽霊に乗っ取られた都市」であると主張している。夜になれば遺跡のあちこちに不気味な発光体「オーブ」が出現し、そこで一夜を明かそうとすると霊にとり殺されてしまうというのだ。
未だに謎多き世界遺産の遺跡は、地元の人々にとっては今なお伝説の生きる場所でもあるのだ。
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(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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