古代ヒッタイトのクマルビ神話には、非常にスケールの大きな原初の巨人が登場する。
ウベルリは海の底に住んでおり、天と地の両方を支えていたという。非常に大きく、また体の感覚も鈍かったようで、自分の右肩より石の巨人のウルリクムミが生え、非常に大きく成長しても、全く気づかなかったという。
ウルリクムミは神々の王の座を追われたクマルビが他の神が意味に対抗し、再び王に返り咲くために創造したとされている。ウルリクムミはウベルリの肩から植物のように生えてきてどんどん成長し、ついには頭が神の住む天界に届くまでになった。その大きさは90000ダンナ(96300km)。大気圏すら突破し、宇宙空間に出てしまうサイズである。
彼は神々への挑戦と称し、毎日陸へ上がって町を破壊して回った。神々はすぐにウルリクムミを対峙しようとしたが、止めようにもあまりに強大であるために70人がかりで挑んでも倒すことが出来ない。しかし、最後には天と地を切り分けた剣で自分の根である岩の両脚を斬られ、海に転がり落ちて死んだとされている。なお、足を斬られたウルリクムミは天候神のテシュブら他の神々を批難しながら海中に沈んでいったという。
ちなみに、そんなウルリクムミの蛮行にもウベルリは気づかなかったとされているのだから、ウベルリの大きさや鈍さは相当なものだったのだろう。ちなみに、ウベルリ自体の大きさは伝わっていない。
なお、ウルリクムミと違い、ウベルリに関してはそこまで伝説は残っていない。恐らく世界の土台となって天地を支える事に従事しており、大して動く事もなかったために記述がされなかったのだろう。
(加藤史規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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