妖怪

ピアスをしている人の耳に噛み付き、食いちぎる!?「カオルさん」

以前、アトラスで紹介した都市伝説の怪人に、「耳削ぎ婆」というものがある。

優しそうなお婆さんで、子どもに「いい話があるから耳を貸してごらん」と言うのだが、素直に耳を傾けると子どもの耳を切り取ってしまうというもの。子どもを襲って耳を切り取るのにも理由があり、自分の子どもが事故で耳を切断する大怪我を負ってしまったため、我が子の耳を治したくて新鮮な耳を求めているのだという。

 ネーミングから昔からいる妖怪のように想像しがちだが、「手術」等のキーワードから推測されるように、現代の噂・都市伝説から生まれた比較的歴史の浅い現代妖怪だと考えられる。しかし、「耳を取ってしまう」という行為は昔から伝わっている「耳なし芳一」の伝説等にも繋がる所があるため、伝説を元に考えだされた妖怪であるといえるかもしれない。

実際、同様の「耳を取ってしまう」現代妖怪は他にも存在している。一時期中高生など若者の間で流行った都市伝説に、「カオルさん」という話がある。

カオルさんは10代から20代で、彼らと同年代の女性で格好も普通なのだが、かなり大きく目立つ眼帯をしているという。そして、ピアスをしているか訪ねてきて、していると答えると豹変し「私のようになりたいか!」と叫んで耳に噛み付いてくるのだという。女性がピアスと耳に執着し、眼帯をしている事から、ピアスに纏わる有名な都市伝説から派生して生まれたのではないかとする説が存在している。




有名な話で、耳たぶに開いたピアスの穴から白い糸のようなものが顔を出しているので、引っ張ってみたらどんどん伸びてくる。その糸がぷつんと切れたと思うと視界が暗くなり、誰かが電気を消したのかと勘違いするが、実は糸は耳に繋がっていた視神経であり、神経が切れて失明してしまったのだ…というものだ。

カオルさんの話も、この有名な都市伝説と、昔から存在する「耳を取られる」怪談とが重なって生まれたものではないかと考えられているのだ。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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