追子は山形の妖怪であり、証言者の祖父の談という。
炭焼きをしていた祖父が、一度釜に火を入れたものの、麓の家に忘れ物を満月の夜、取りに行った。すると途中、木の根元に柄のない傘を被った子供がうずくまっている。そして「カタエはまだかい」と言ったという。
大人の声か子供の声かわからず、気味が悪いので無視してとおり過ぎても、また前方現れ「カタエはもうそろそろだろう」という。3度目にその怪物が現れた時には、「カタエはもうおるな」と言うので、野間氏の祖父は思い切って「カタエはもう死んだは」と答えるとそれが突進してきた。
どうにか祖父がそれをつき飛ばすと、「あっ」という声と共にそいつは破裂し赤い液体」の水たまりがそこに残っていた。
あとで炭焼きの親方に聞くと「そいつは水の妖怪だ」という。しかも、祖父が火の仕事(つまり炭焼き)に携わるものだったので助かったと説明された。
この話はNHKアーカイブで放送された妖怪番組の中のエピソードに酷似しており、同種の妖怪の可能性が高い。追子というネーミングは呼子と関連あるのかもしれない。
※参考文献・出典 「超」怖い話Б(ヴェー) (竹書房文庫) 平山 夢明 、加藤 一 (共著) 竹書房 (2003/07)
(監修:山口敏太郎)
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