天使や悪魔など、昔から我々の側には普通は見ることのできない存在がいると考えられてきた。
そして時には人知を越えた力で助けてくれたりするとも信じられていた。
そんな崇高な存在、天使の言葉を読みといたとする人物が存在する。16世紀の占星術師にして魔術師ジョン・ディーだ。
彼はエリザベス一世の即位を予言したことで宮廷占星術師に召し抱えられる。やがて魔術の研究を進めていた彼は「至高の叡知は神から直接授けられるものだ」と考えるようになる。それから彼は神や天使との対話・交流を試みはじめるようになった。
彼は優れた霊媒師であるエドワード・ケリーと共に実験を繰り返し、最初の人間アダムの子孫エノクが用いたとされる天使との対話の言語「エノク語」で様々な交流を行った。
しかし、ケリーは前科持ちの人物であり、天使からの言葉と称して金儲けや詐欺を勧め、最終的には「妻の共有」という無茶な託宣を伝える。ここに来てジョン・ディーはケリーと喧嘩別れし、天使との交流もストップすることになる。
その後はあまり研究成果もなく、晩年は貧困のうちに生涯を閉じたようだが、彼の天使との交流記録やエノク語は今も多くの人々に注目され、研究されている。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)