ネイティブアメリカン、アラスカはトリンギット族の伝説によれば、蚊は人食いの巨人が姿を変えたものだとされている。
その昔、この地には人間を獲って食い、生き血を飲み心臓を好物とする人食いの巨人が住んでいた。このままでは人間が全て食べられてしまう、と悩んでいると、ある男が退治に名乗りを上げた。
そして、男は巨人が現れたという場所へ赴いて、その場に倒れて死んだふりをした。暫くして巨人が通りかかり、男の事を行き倒れた人間だと思って担いで家に連れ帰った。
家に帰った巨人が薪をとりに外に出たところで男は跳ね起きると、入れ違いに入ってきた巨人の子供を脅して巨人の急所を聞き、急所のかかとをナイフで突いて殺してしまう。巨人の死体は焼かれたが、後に残った灰は全て小さな蚊に生まれ変わった。
蚊が人の血を吸うのは、巨人だった頃の好物が忘れられないためなのだそうだ。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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