1994年7月に松本市で当時犯人不明の怪事件が起きた。
俗にいう松本サリン事件である。この事件は7人の死者と、213人の重軽傷者を出しており、大きな波紋を呼んだ。
この事件では関係の無い会社員が容疑者として逮捕されるなど、警察の捜査方法、マスコミの報道姿勢が追求されたが、この事件を予言するような小説が、事件発生の3ケ月前に発売されていたのだ。
小説のタイトルは「みどりの刺青」で、著者はジョン・アボットという人物である。米国では92年に発売されたのだが、日本では松本サリン事件の3ケ月前に翻訳発売されている。
この内容はテロリストがサリンを使って、まったく痕跡も残さずブッシュ大統領を暗殺するという過激なものであり、サリンの制作工程も描写されていた。(一部、故意に違う手順で書かれていたが)
この小説の著者のイマジネーションは未来を幻視していたのであろうか。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『Scimitar Mass Market Paperback by John Abbott 』表紙より
みどりの刺青