タイムトラベルと思われるような事件は、世界で数々の報告がなされている。それは陸地であろうと、上空であろうと場所を選ばないようだ。
1960年1月、AOPA(航空機所有者・操縦者協会)の会員であったジョン・ウォールがアメリカのオハイオ州をセスナ機で飛行中、前方に奇妙な飛行機が出現したことに気が付いた。
その飛行機はなんと、1930年代に使用されていたレアード機であったというのである。
直後、ウォールの操縦するセスナ機とレアード機の二機は接触してしまい、ウォールの乗る機体の翼の一部が破損してしまった。幸いにも墜落は免れたものの、一体誰があのような古い飛行機を飛ばしていたのかは、協会の調査によっても不明なままであった。
しかし3ヶ月経ったある日、オハイオ州内の旧家の倉庫にレアード機が保存されているということが判明し調査が入ることとなった。その結果、機体には確かに接触の痕跡があり、ウォールのセスナ機の破片も付着していたことがわかった。
だが不思議なことに、このレアード機の持ち主によると、ここ30年ほどは飛ばしていないということであり、さらに機内から発見された飛行日誌には、「1932年、奇妙な飛行機と接触」という旨が記されていたのだという。
実はこの話には類話が存在している。操縦免許証を取ったばかりの少年が赤と白に塗られたパイパー・チェロキーに乗り上空を飛行中、雲間からこちらへ飛んでくる飛行機と遭遇し、両機ともに翼端が接触してしまった。墜落を免れた少年の機体であったが、接触した相手側の飛行機は見当たらなかった。
少年によると、それは第1次大戦で活躍したニューポート28型に見えたという。数ヶ月後、地元の飛行クラブで古い飛行機の復元をして飛行するイベントが開催されることとなり、その最中とある農家の納屋にニューポート28型が保管されているのが発見された。
埃まみれで数十年は放置されていたであろうその機体には、最近になってついたような傷があり、赤と白のペンキまで付着していた。そして機内からは飛行日誌が発見され、その最後には「赤と白の塗装がされた見たこともない飛行機と接触」という内容が書かれており、そのインクと日誌の紙は30~40年前のものであるとの鑑定がなされたという。
おわかりの通り、細かい部分で差異は見られるがシチュエーションや展開がほぼ一緒である。特に後者の場合は、細かい設定が織り込まれて構成されていることから、前者の話を基にした改編のバージョンである可能性が高いだろう。もっと言えば、後者の出典は1996年に出版された『空の上の超常現象』に由来しているようであるが、前者の場合はそれより以前の文献でも確認できる。
後者の話は1950年代の出来事として語られることもあるようだが、この場合パイパー・チェロキーの製造開始が1961年ごろであるために少々破綻してしまっている。
こうしてみると、話自体が非常に都市伝説めいており、事件そのものの信憑性も疑わしいと考えざるを得ない。ただ仮に、前者が実際の出来事(オリジナル)であったとすれば、実に奇妙な事件であることに違いはないだろう。四次元の空間が紐のようにもつれ、その接触部分にトンネルができることで過去と未来が一瞬つながってしまったのではないかという説も存在する。
この出来事は、17世紀のヴェルサイユ宮殿に迷い込んだという話と同様、タイムトラベル事例の中でも有名な話の一つとして知られており、今もって謎めいた事件として語られている。
【参考記事・文献】
斎藤守弘『SF入門なぞの四次元』
事例報告:飛行機がタイムスリップし40年前の複葉機と接触!!
https://blog.goo.ne.jp/john-titor-report/e/e41ce8d2de2a68b46405b9ab91546413
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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