アフリカでは、いまだにシャーマンや呪術が信じられており、通常の医学よりも呪術医が処方する薬草の方が珍重されたりする場合が多い。
たとえば、ワールドカップのアフリカ予選などでもサポーターに混じって、シャーマンが鎮座しており、敵方のチームに呪いをかけたりすることが現実に行われている。
驚くべきことだが、この呪いにより相手チームの”男性性器”が消失したと真剣に信じられているのだ。
アフリカが人類の母なる大地であり、 すべての人類がアフリカからスタートしたのは間違いない。
それにアフリカで発掘された十数万年前の居住遺跡からは、死者を葬った葬儀の痕跡が確認されているのだ。つまり、人類は旧石器時代から延々と死者を敬い、埋葬し供養してきた歴史があるのだ。
アフリカの民話に死生観を伺うにはピッタリな物語がある。
かつて、人間は生まれたときに額に、赤ちゃんとして生を受けた日から、この世を去る死ぬ日が刻まれていた。だが、その後、人間の額から”死のナンバリング” が消えてしまったのだ。
アフリカにおける死生観は多様である。たとえば、アフリカのモシ族は、誰かが死ぬと集落や一族の中において、葬式が行われるまで、「クリタ」 と呼ばれる女性が死んだ人物の服を着て、死んだ人の家でその人になりきって生活する。 埋葬するまでは、死者が出たという事実を認めないような感覚があるようだ。
また、アフリカのティブ族の死生観も興味深い。人間が死ねばその魂は蝶になると考えており、その蝶が死ねば死者の魂は消滅するとされた。これはわが国にもある考え方であり、死者が蝶になったり、ハエになったりすると解釈された。
なお、アフリカには死そのものを畏怖する考えがり、集落の中で死者が出ることを極端に恐れ、死期の近い病人が出た場合は、 その体に生肉や毛皮を結びつけて草むらに放置した。当然、ライオンやハイエナなど肉食獣の餌食になってしまうのだが、病気で死ぬよりはましという考えがあったのであろう。
現在ではこのような習慣は無くなりつつあるが、死を畏怖する習慣はあり、死者が出た家の住民を避けたり、死者が出たら即行で埋葬したり、死そのものを目の前から消してしまう感覚は根強い。また、部族によっては”幽霊” という概念は通用しない。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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