「ウォーリーをさがせ」という絵本で遊んだ経験のある人は多いはずである。
大勢の人々の中に隠れた、ウォーリーというキャラクターを捜す趣向の絵本である。子供の知的発育に効果のある良書だが、このキャラクター、ウォーリーに関する都市伝説があるようだ。その内容は仰天ものである。
なんと「ウォーリーは殺人を犯した犯人であり逃走中だった!」というものである。
勿論、全くのネタである。潜在的な都市伝説はあったのかもしれないが、元々はテレビ東京の「やりすぎコージー」という番組の都市伝説特集において、若手芸人が披露した話が原点になっているようだ。
但しそのあまりのインパクトに、当時あっという間に旬のフォークロアになってしまったのだ。
では「ウォーリー都市伝説」の内容を追ってみよう。
ある猟奇的な殺人鬼がいた。その殺人鬼はジムという名前で、責任能力がないという理由から罪に問われなかった。故に監獄に入る事もなく、釈放されてしまった。つまり、今も殺人鬼ジムは街中を徘徊しているのだ。
「ジムに注意しろ!」という意味から「ウォーリーをさがせ」という本を使ったゲームが始まったという。
つまり、何も知らない人々に殺人鬼の顔を啓蒙するためにこの絵本があるのだ。
なかなかよく出来た都市伝説である。
芸人の話から始まったこの都市伝説は進化し、インターネットを通じ、更に分化・伝播していった。
「ウォーリー都市伝説」は他のバージョンも多い。以下にそのバージョンを列挙してみよう。
有名人の発言から始まった噂が、様々に変化する様がよく現れている。
①何故ウォーリーがなかなか絵本では見つけられないのか、それには理由がある。殺人鬼・ジムの姿は、昔殺した何人もの犠牲者の霊が彼を隠しているからだ。
②ウォーリーはシマシマの服を着ているが、この服は囚人服である。
③深夜2時ジャストに「ウォーリーをさがせ」の絵本を開くと、一面が百人のウォーリーになっている。この時間はウォーリーの生まれた時間である。
④ウォーリーは実は誘拐犯である。
本名はジムであり、ジムがさらった子供の名前がウォーリーである。
だから、警察や市民は誘拐事件の被害者であるウォーリーを捜している。
⑤ウォーリーを100回見つけると、枕元にウォーリーが立つ。
⑥ウォーリーは実在の人物である。今も世界を旅行中だが、実は逃走中であり、絵本という形で指名手配になっている。
⑦ウォーリーのメガネは人の心を読む。
ここまで噂が広がるとは、興味深い現象である。人々によく知られたキャラクターに噂がつくと、あっという間に拡散してしまうようだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『毎日さがせ! ウォーリーCALENDAR 2017』より