『ペナンガラン』とは、マレー半島、ボルネオ島に伝わる吸血妖怪であり、首だけで飛び回る日本の妖怪『ぬけ首』や南米の妖怪『チョンチョン』の仲間と思える妖怪。昼間は普通の女性だが、夜になると首が胴体から離れ、飛行すると言われている。
元々『ペナンガラン』は、普通の助産婦だったが、悪魔と契約してしまい妖怪化してしまったとも、不幸にもお産で亡くなった女性がなったとも伝えられている。
なんとも不気味なことに首の下には、食道や胃やその他の臓器がぶら下がっており、飛行中は内蔵部分が発光しているという。また、この内臓からしたたる血液や体液に触れた人間は病気になってしまうらしい。また、吸血鬼なので人間の血を吸うのが好きなのだが、特に妊婦の血は大好物である。日本の妖怪図鑑では過去に『胃ぶらりん』と紹介されたことがある。
この妖怪の攻撃を避けるには、アザミの葉っぱを玄関に貼っておくと良いという。アザミの葉や茎にはトゲが生えているため、内蔵が引っかかってしまって『ペナンガラン』が入って来られないのだそうだ。
タイの『ガスー』は、『ペナンガラン』と同一の妖怪と思える。女の頭に内臓がぶら下がった状態で、光りながら飛行する点など全く同じである。この『ガスー』は、家畜の血を吸い、死肉をあさったり、妊婦の血を吸ったりする。なお『ガハン』という男の妖怪と同じエリアに棲むと言われている。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)