Kホテルと言えば、今でも多くの人が利用する人気ホテルである。このホテルには幽霊伝説があり、多くの目撃談が寄せられている。
窓の外を人影が落下する。驚いた宿泊客がフロントに電話し、落下したはずの地上を確認しても遺体などはいっさいないとか、駐車場に数多くの顔が浮かび上がるとか、その手の噂が長い間囁かれている。
それは1983年に起きた沖雅也自殺事件が原因ではないだろうか・・・。
当時『俺たちは天使だ』や『太陽にほえろ』などに出演し、人気絶頂だった売れっ子俳優の自殺は日本中に大きな衝撃を与えた。
テレビドラマ版『蒲田行進曲』の撮影を終えた沖雅也は、つかこうへいの名前でKホテルに宿泊、馴染みの出張風俗譲とプレイした後、47階の非常階段・踊り場から飛び降り自殺をしてしまった。
遺書には日景マネージャーあてのものがあった。(事件からだいぶ時間が経った後の警備員の目撃証言によると、踊り場にいた沖雅也に警備員が声をかけたところ、驚いたように振り返り、転落したとも言われている)
当時、沖雅也の養父であり、マネージャーでもあった日景忠男(2015年2月に死去)が同性愛者であり、沖雅也との関係が興味本位で書き立てられたが、沖雅也はヘテロセクシャル(異性愛者)であったとされている。
自殺そのものも不可解な部分があり、遺書にあった「涅槃で待つ」 という言葉は流行語にもなった。自殺事件後は日景マネージャーのキャラが注目され、数多くの番組にひっぱりだこになったが、晩年は薬物中毒になっていた。
この事件以降、Kホテルは自殺の名所となってしまい、多くの自殺者が出ている。また自殺以外でも殺人事件も数件起きており、心霊マニア垂涎のホテルになってしまった。
山口敏太郎が昨年、友人の漫画家ひぐらしカンナ氏主催のパーティーの出席したとき、参加されていたハンディキャップのある方が筆談で「Kホテル 近くの道を沖雅也の幽霊が繰り返し歩いている」と山口敏太郎に教えてくれた。
今もさまよっているとしたら、気の毒で仕方ない。涅槃で養父とは会えたのであろうか。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)