これはビートたけしと付き合いの長いスタッフから聞いた話である。
1994年のバイク事故の際、たけしは夢を見ていた。暗い空間をトボトボ歩いていると、脱ぎ捨てられた着ぐるみが落ちている。
「おや、これはなんだろう」
たけしが着ぐるみを覗き込むと、なんと自分の着ぐるみだった。しかも、傷だらけでズダボロだ。なんとなく着てみたくなり着ぐるみを身につけると目が覚め、ベッドに横たわる自分に気がついた、という。
また、昏睡状態のたけしは、亡くなった友人であるアナウンサーの逸見政孝が枕元に立つ姿を目撃したりと不思議な体験をすることが数多くあったそうだ。
また、これは余談ではあるが、入院中のたけしの楽しみはアニメの『セーラームーン』を毎週観ることで、復帰後、たけしは「セーラームーンってさ、あんだけ女の子いれば戦闘中でも何人かは、アンネの日の子いるよね」とジョークを飛ばしていた。
文:横須賀小禄