BPO(放送倫理・番組向上機構)は3月8日、「2017年2月に視聴者から寄せられた意見」として匿名意見(苦情)を公開した。
公開された苦情には豊洲市場問題への偏向報道、特定の問題を連日同じ内容で放送を続けているといった意見があったほか、「朝の情報番組に、人気俳優の出ている料理コーナーがある。そこで使われているオリーブオイルの量は、料理一品に対して多すぎるのではないか」という、意見では特定の番組名を指していなかったが、俳優・速水もこみちが担当する日本テレビ『ZIP!』の料理コーナー『MOCO’Sキッチン』であることは間違いなく、ネット上で大いに話題になっていた。
そんな中、『MOCO’Sキッチン』と比べあまり目立ってはいなかったものの、2月の「視聴者から寄せられた意見」には子供向け人気アニメ『妖怪ウォッチ』(テレビ東京)への苦情も存在していたようだ。
青少年に関する【「表現・演出」に関する意見】には「主人公が小学生のアニメ番組で、いつもと異なる画風や設定で放送されたコーナーがあったが、主人公やキャラクターの言葉遣いがひどかった。子どもに人気の番組であり、悪影響がないか心配だ」と投稿されていた。
これも番組名こそ伏せられているが番組内で短期シリーズとして放送されている『黒い妖怪ウォッチ ~導かれしクズたち~』であるのは明確で、本作は2017年2月3日放送分よりOAされている。
『黒い妖怪ウォッチ ~導かれしクズたち~』は妖怪ウォッチの新アイテム『DX黒い妖怪ウォッチ』の販促用アニメで「人間を妖怪に変えるウォッチ」というホラーアイテムが登場するほか「妖怪本来のおどろおどろしさを子供に伝える」というコンセプトで制作されているという。
そのためマスコットキャラであるはずのジバニャンやコマさんが「ざけんじゃねーぞ!」「ボケが!」「てめぇ猫くせぇぞ!」といった汚い言葉を発するほか、主人公の少年が妖怪「けむし男」に変身したり、手や首を伸ばすといったホラー描写が多数あったようである。
確かにいつもの『妖怪ウォッチ』に比べるとホラー・残虐要素は若干強いものの、関連アニメやおもちゃの売上は子供を中心に好評らしく「気持ち悪いと言いながら面白がって遊んでいる」「(黒い妖怪ウォッチを)毎日繰り返し見ている」といった肯定意見も多いという。
なお、『妖怪ウォッチ』は過去、「女性化した妖怪がバナナを頬張り、意味ありげなセリフを発する」という下ネタを放送し、これもBPOからのクレームとなった前例がある。
元来、子供は怖いイラストや、ホラー番組が大好きだ。あまり目くじら立てずに静観するのが親の役目なのかもしれないが、さすがに今回の『妖怪ウォッチ』も少々やりすぎだったのかもしれない。
(穂積昭雪 ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)
【参照リンク】
黒い妖怪ウォッチシリーズ(玩具) 紹介映像(バンダイ公式チャンネル)
画像©PIXABAY