ロイチェクタはスイスのレッチェンタール渓谷に伝わる冬の妖怪。
大柄で全身に山羊のような剛毛が生えており、杖を持った姿で現れるという。
騒々しい音やうなり声を上げながら走り回り、冬が終わると悲鳴を上げながら逃げ去ってしまうとされていた。恐ろしい外見だが、氷河を越えてやって来る悪魔や死霊を追い払い、不妊症などの病気も治してくれるという。
謝肉祭の木曜日には、この妖怪と同じ名前で呼ばれる奇妙な仮面を付けた男達が、山羊の皮を全身にまとって鈴を鳴らしながら村を走り回るイベントがある。この時、彼らは村の娘達が恐れるように顔を煤で汚すという。
村中を走り回ったロイチェクタ達は、最後に村から出て行くのだが、これは冬の勢力が春に負け、やがて暖かい季節が訪れると言うことを示しているのだという。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)