雪が降る地方もあるが、春一番が吹いたり暖かい日も増えてきている昨今。ゆっくりと春に近づいている事が解る。
そんな四季の移り変わりや春の訪れは、昔から様々な地方の神話で語られてきた。
ネイティブアメリカン、アルゴンキン族に伝わる伝説では、冬は氷の国に住み、巨人の姿をしているとされた。
アルゴンキン族の善神、グルースキャップはあちこちを旅して回った後に氷の国に辿り着いた。疲れ果てた彼が辿り着いたテントに潜り込むと、そこには冬という巨人がいた。彼はグルースキャップに煙草をすすめ、次々と面白い話を聞かせるが、実はその話には眠りの呪文がかけられていた。彼の呪文にかかってしまったグルースキャップは、6ヶ月もの間眠り込んでしまう。
ようやく目をさました彼はテントから這い出ると、今度は南へ歩いていった。やがて彼は大きな森に辿り着き、一人の小さな美しい女性を見つけた。女性は春の女王で、グルースキャップは彼女をつまみ上げると掌に載せて森から連れ出した。
やがて、彼は再び北の氷の国に辿り着き、冬の巨人のもとを訪れる。冬の巨人はまたもグルースキャップを眠らせようとするのだが、グルースキャップが連れていた春の女王の力によって、叫び声を上げて消えてしまうのだった。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)