現代怪談!泊まってはいけない部屋 ※ホテルスタッフの証言より

地方めぐりの多い芸能人やビジネスマンなどの口からよく聞かれる話として、宿泊先のホテルの部屋に入ったとたんゾッとする得体の知れない違和感を感じて、別の部屋に替えてもらった、というものがある。特にバケモノが出たというわけでもなく、気のせいなのか、あるいは部屋の視覚的なレイアウトに起因するのか、空調不良による空気の流れの悪さがそう感じさせるのか……さまざま理由が考えられるが、そんな中でも、実際にホテルマンたちの間で「どう考えても説明がつかない」と噂にのぼる不可解なケースがある。




千葉県市川市。幸田露伴や永井荷風、東山魁夷ら由縁のある文化人や、小堺一機や安藤優子、押切もえら同市出身という有名人も多い土地柄で、千葉県の玄関ともいえるJR総武線市川駅は都心へのアクセスもよく、不動産的にも人気が高い。

その市川駅南口は、かつては商店街や古い商業ビルなどが雑然と建ち並んでいたが、十年ほど前から再開発され、いまでは上層階なら2LDKで20万円以上の賃料をとるタワーマンションがランドマークとしてそびえる。その南口エリアに、再開発で取り壊される前には老舗のラブホテルがあった。部屋によって昔ながらの回転ベッドがあるようなリアルレトロな宿で、それほど人気があるわけではなかったものの、駅ビルの出入り口から小道を挟んですぐのところに玄関があり目立たず利用できるという点で、都内から顔の知れたタレントがきたこともあったという。

さて、そのホテルに平成2年の春から一年弱ほどパート勤務していたという、現在70代になる主婦K子さんが、辞める要因となった不可解な事実を明かしてくれた。

「フロント業務とベッドメイクが仕事の中心でしたが、2階の一番東端にある部屋を選んで入ったお客さんの多くが、ものの10分かそこらで、気味悪そうな顔をして『部屋を替えてほしい』と言ってくるんですよ。理由を聞くと、とにかく居心地が悪いんだと」

K子さんは、いまだに不思議だという表情を浮かべ首をかしげる。

「10人ご案内すると、そうね、まず7人はそう言ってくるのね。幽霊を見たとか、そういうことではないんです。説明できないが、うす気味悪いと。別の部屋がなければチェックアウトして他のホテルへ行くからいい、と」

よけいな仕事が増えるので、客がその部屋を希望しないよう、平日はよく誰も入っていなくても入室済みにしてしまっていたという。しかし週末にはそういうわけにもいかず、その部屋に案内する。すると、前述のように部屋の変更を申し入れられるというのだ。

ちなみに、変更を申し入れてくるのは例外なく、ホテトル利用するために一人で入室した男性客だそうだ。カップルで入室した客は変更を申し入れないという。

「そういう怪談話ってテレビとかでよく見るじゃない? 昔、その部屋で何か事件でもあったのか古参の人や社長にも聞いたんだけど、それがホテル全体、新築当時から思い当たるような事故も事件もなんにもない、って言うのよ。私もそれでその部屋にベッドメイクで行くのがなんだか気味悪くなってね」

辞めてしまったという。

ただそれだけのことといえばそれで済んでしまうが、人間はまだ文明を持つ前には、危険回避のためにさまざまな自然現象を感知する研ぎ澄まされたアンテナを持っていたといわれる。それが反応する何かが、その空間にはあったのか?

ちなみに跡地に建ったタワーマンションにもトラブルめいた話がある。住宅性能評価の現場検査で地上25階以上30階部分までが鉄筋不足であることが明らかになり、市川市議会でも大きな問題となったのだ。結局は是正工事で対応することとなったそうだ。

文:烏基彦(からすもとひこ)

※写真はイメージです









 

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