2mチャリ怪人・デカちゃり、エマニエルおやじ

 「デカちゃり」という怪人がいたらしい。これは80年代に千葉県船橋周辺に現れた怪人で2m近い巨大なちゃりんこで小学生を追いかけ回すという人物である。この怪人、一時期ネットでも何者と評判になったが、実は正体は実在の人物らしい。
 これは筆者の弟の証言である。
 筆者の弟は、市川市内の某中学校出身であるが、弟の何代か前の先輩に巨大な「デコちゃり」に載っている人物がいたという。「デコちゃり」とは、トラックのデコトラのように煌びやかに装飾した自転車で普通自転車の何倍もの大きさに見える。
 またこの先輩は、バイクのエンジンをこの自転車に搭載し、今で言うエンジン付き自転車のようにして、猛スピードで走っており、市川や船橋の後輩や小学生は酷く恐れていたという。なかなかユニークで豪快な人物である。
 弟の説によるとこの先輩の伝説が都市伝説となったのではないかという事である。なるほど確かにありうる話である。また名称も「デコちゃり」が「デカちゃり」に変化した可能性も高い。




 他にも実在の人物が都市伝説になる事は多い。
 「エマニエルおやじ」などもその好例である。千葉県の新京成線沿いに出る怪人で、奇妙な行動を行うらしい。
 畑の大根を勝手に引っこ抜き、スナックや居酒屋に強引に売りつけたり、泥酔し道路の真ん中で爆睡し、道路交通を麻痺させたり、伝説を多く持つ怪人である。ちなみに名前の由来は、エマニエル坊やに似ているからだという。

 他にも総武線には、「坊主男」がいる。坊主頭の怪人で頭をすりよせてくるという。ひっつき虫の精とか様々な噂の立っている「坊主男」だが、昭和30年代には小岩周辺に出ており、時代が立つにつれ船橋、東船橋と総武線を東京から千葉の郊外まで移動していっている。このあたりから、郊外の開発により移動していく植物の精という尾鰭がついたのであろう。
 但し、時代的に考えて、「坊主男」のモデルとなった人物は複数いると思われる。小岩時代は大柄で、千葉に移動するにつれ小柄になっていくのだ。90年代には、筆者と筆者の妻が船橋市内で目撃した坊主頭の大柄な男や、筆者の著作の読者で怪談の語り部である田島女史が同時期船橋で目撃した坊主頭の男が同一人物なのかどうか不明である。ちなみに筆者は、その怪人物を「タマ」と名付け(人気バンドのたまのドラムからとった)、田島女史は「坊主頭の男」と呼んでいたという。

 兎に角、このような不思議な複数の人物の行動が集約されて、都市伝説が構築されていく点が非常に興味深い。ある意味、正体不明の妖怪よりも、意味不明の人間の方が怖い場合もある。
 そんな意味不明の人間の暴走が軌跡が、新たな妖怪伝説として生まれるのであろう。不可解な人間の行動の解釈に、妖怪・怪人という単語を当てはめて安心するのは、我々の先祖が創った有効な社会認識システムであるのだ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

※画像©写真素材足成




 

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