今から72年前の1947年1月15日、アメリカ・ロサンゼルスにて女性の惨殺された遺体が発見された。
腰の部分で両断された死体は、ひどく痛めつけられていた。口は左右両の耳近くまで切り裂かれ、腹部は割かれていた。顔や体には多くの痣や傷、タバコの火を押し付けられた痕があり、首と両手足に縛られた痕があったため、数日間は拷問を受けていたとみられた。
やがて、この被害者はエリザベス・ショートという22歳の女性であったことが判明する。女優志望でハリウッドに出てきたのだが、周囲の複数のナイトクラブを渡り歩きながら売春を行っていたこと等でも知られ、周辺ではよく知られた人物であった。
後に、検死の結果彼女の顔は生きていた時に切られたものと判明し、また生きたまま彼女は体を両断された可能性も出てきた。
あまりに凄惨な死体の状況と、スキャンダラスな側面からこの事件は世間の好奇の視線を集めた。彼女の通り名から「ブラック・ダリア殺人事件」と呼ばれ、メディアはこぞって取り上げ警察にも犯人を名乗る愉快犯が続出し、捜査の大きな障害となってしまった。
そんな折、地元の新聞社に彼女の所有物が入った荷物が届き、75人もの男性の名前と交際記録が書かれたアドレス帳が出てきたが、犯人を特定するには至らなかった。エリザベスと関係の深かった男性らなど、複数の容疑者が上がったが、いずれも確たる証拠はなく、結局今も犯人は解らないままとなっている。
まだ真犯人は存命なのか?それとも本当の迷宮入りになってしまったのか?殺人に時効の無いアメリカでは、現在でもまだこの事件の真相を知りたい多くの人たちがブラック・ダリアの死の謎に挑んでいる。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)