よく、子供を中心に「一番強い妖怪はなんですか」などと聞かれる事がある。
確かに強さを比較してみたくなるが、単純に「妖怪の強さランキング」を作るのは難しい。名のある強い妖怪はそれぞれ別の伝説に登場しているものが大半なので、直接対決がなくなかなか強弱を決めることができないのだ。
それでも強さを比較するために、まずは、日本の三大妖怪を紹介しよう。「金毛白面九尾の狐」の強さはいうまでもない。インドや中国で国をほろぼし、日本の朝廷を危なくした妖術は評価してしかるべきであろう。
あと「酒呑童子」も「茨城童子」「熊童子」など多くの子分をひきつれて、京都を襲撃、人間をさらったり金品を奪うなど大暴れしている。最後は妖怪バスターズの源頼光と配下の四天王によって、騙まし討ちにあって首をはねられている。最後は、「大嶽丸」である。この「大嶽丸」は鈴鹿山住んで暴れまわっていた鬼だが、何度も殺され首をはねられても、復活する蘇生能力が強みである。
なお、一部の説では「大嶽丸」の代わりに、天狗の頭目であった「崇徳上皇」を「白峰魔王」として三大妖怪に入れる場合もある。
ちなみに妖怪同士の対決も幾つかは記録されているので紹介しておく。千年生きた「千年河童」が「大杉天狗」と戦って惨敗を記録している。やはり、「天狗」が妖怪界で最強なのかと思うと、そうではない。「天狗」は「龍神」の片足で蹴り殺されている。では「龍神」が最強かというと、「ヤマタノオロチ」の方が「龍神」より強いのは事実のようだし、まだまだ決めることができない。
他にも同じ種類の妖怪同士なら幾つか戦いの記録がある。狸同士の狸合戦は、「金長狸」の一派と、「六右衛門狸」の一派による合戦が有名である。他にも「二代目金長」と六右衛門狸の息子「千住太郎」による第二次阿波狸合戦、「狐」が四国の狸とと行った合戦も有名であった。
さらに河童の世界も厳しい戦いが続いている。九州の河童を天下統一したのは、九千匹の子分を持つといわれている「九千坊」である。この「九千坊」だが、関東の河童の親分である「ねねこ河童」の前に敗れ去ったといわれている。ちなみに「ねねこ河童」は伝説によればメスの河童だったという。つまり、河童界の頂点を制したのは女親分だったといえるかもしれない。
(山口敏太 ミステリニュースステーション・アトラス編集部)