妖怪伝説は自然への畏怖を投影したものか「大森山の怪鳥」

妖怪の伝説を調べていくと、その背後に自然への畏怖などがかいま見える事も多い。

秋田県尾去沢の奥地に大森山という山がある。文明13年、この山から羽の長さ20メートルの光る大きな鳥が出現した。怪鳥は火炎を吹き、奇声を発しながら飛行し、田畑を荒らしまわった。恐怖に震えた人々は山伏に怪鳥の退治を依頼した。

ある日、大森山から怪鳥の悲鳴が聞こえた。




村人たちが恐る恐る鳴き声のした場所へ行ってみると、怪鳥が血を流して死んでいた。大森山の神が獅子に化けて怪鳥を退治してくれたのだ。怪鳥の血はその後、沢に流れ込み、真っ赤に染まったことからその沢は赤沢と呼ばれるようになった。

また、怪鳥の腹を割いてみると金や銀、銅などの鉱物が入っていた。それを見た尾去村の村長は夢で鉱物の埋まっている場所を見た事を思い出し、夢で見た場所へ行ってみたところ鉱脈を発見した。これが鹿角の尾去沢鉱山の始まりとされている。

修験者は山に入る事が多く、また鉱脈がどこにあるか長年の経験から知識として得ている者も存在していたという。大森山の怪鳥伝説は、鉱山を拓いて安定して鉱物が産出できるようになったことを現しているのかもしれない。

(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)




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