日本にも「ピラミッド」が存在する、という説がある。もっとも日本の場合はエジプトの王墓のように石を組み上げた物ではなく、自然の山を信仰対象とした、と考えられているようだ。
十和田湖の東、青森県新郷村に「大石神ピラミッド」というパワースポットがある。大湯環状列石・黒又山・大石神ピラミッド、これらの遺跡を結び「北東北のレイライン」と呼ぶ動きもある。いずれも古代の巨石信仰、あるいは太陽に密接に繋がった信仰の跡であると考えられる。
大石神ピラミッドが「ピラミッド」と呼ばれる様になったのは昭和10年(1935年)以降の事だが、それ以前からも地元では「山の石を転がすと雨が降る」という言い伝えが残されており、雨乞いの儀式に利用していたという。現代でも不思議な現象の起こりやすい山として知られ、「腕時計・方位磁石が狂う」「カメラのシャッターが切れない」といった体験談は枚挙にいとまがない。何らかの強い力が働いているスポットである事は確かだ。そして古代人はその鋭敏な感覚でパワーを感じ取っていたのだろう。
大石神を成す巨石群は主に、太陽を礼拝したとされる「太陽石」、正しく東西南北を示す「方位石」、星の位置を記録した「星座石 」、そして古代文字が書かれた「鏡石」といったラインナップ。これら巨石は同じ組成の石が付近に存在せず、人為的に持ち込まれたものとされる。一番近い物でも100km以上離れた青森県の日本海側から運ばれたというから驚きである。
「東北のストーンサークル」こと「大湯環状列石」は、東北自動車道・十和田ICから東へ車で10分程の所にある。これは野中堂遺跡と万座遺跡の2つの遺跡から成り、国の特別史跡に指定されている。
この日時計型に配置された石群は約4000年前の縄文時代後期の遺跡で、祭祀・墳墓等の役割を持つ施設であったと考えられる。敷地内には出土した実物の石が露出展示され、触ることはできないがごく間近まで近付いて見る事ができる。
敷地内は当時と同じ地形が再現されており、土地に無かったとされる杉は除かれ、代わりに花粉分析から存在が明らかになったブナ等が植樹されている。つまり遥か昔に古代人が祈りを捧げた環境そのものが復元されていると言っても過言ではない。訪れると「どこか懐かしい感じがする」「気持ちが落ち着く」「心が和む」といった癒しのパワースポットとして知られる。
またストーンサークルには大地と宇宙のエネルギーが集中すると言われている。大湯環状列石の近くには信仰の山「黒又山(通称クロマンタ)」が存在するが、この山は四角錐の様な姿から古代のピラミッドではないかとする説もある。ピラミッドもまた宇宙のエネルギーを集めると言われる。この奇妙な符号は果たして偶然だろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)