【妖怪ウォッチ研究序説】人の心を迷わせる牛車の妖怪「朧車」と「迷い車」

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。

行きたいところに乗せていってくれる親切な妖怪だが「極度の方向オンチ」で、とりつかれると自分も方向オンチになって目的地へなかなかたどり着けなくなってしまう、というやっかいな妖怪の迷い車。

ウラナ

イマドキ妖怪になるが、形は最近の自動車ではなくちょっと変わった形の二輪車になっており、四角い小さな家のような部分の全面が顔になったデザインになっている。

この一風変わった車は、平安時代頃に使われていた牛車といい、本来は顔のある前方に牛がつき、車を引っ張って進んでいくものだ。この牛車が姿を変えた妖怪が江戸時代の書籍に残っている。

江戸時代の絵師・鳥山石燕の『画図百器徒然袋』に紹介されている『朧車』がそうだ。




同書によれば、車争いという場所取り争いに負けた女性の怨念が牛車にとりついて妖怪となったもののようで、牛車の前面を埋め尽くすほど大きな顔が名前の通りおぼろげに描かれている。

昔、貴族たちの間で名所見物の場所取り争いに負ける事は非常に不名誉なことだとされていたので、名誉を傷つけられた人々の怨念が行き交う京都の大通りには、この妖怪が車だけで走る様子が目撃されたようだ。

目的地に早くたどり着くことができず、場所取り争いに負けてしまった悔しい気持ちから、妖怪になった後道行く人に自分と同じ気持ちを味わわせてやろうとして、迷い車は急ぐ人たちを迷わせ続けているのかもしれない。

(黒松三太夫  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)





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