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世界最古の神話『ギルガメシュ叙情詩』失われた一部が2015年に発見されていた

 2015年10月、イラクにて成立年代が世界最古とされるバビロニア神話、『ギルガメシュ叙情詩』の今まで発見されていなかった一文が刻まれた粘土板が発見された。

 問題の粘土板は地元の博物館がクルディスタン地域にて、遺跡の遺物を密輸する業者から購入することに成功したものだ。解読の結果、神話に登場する巨人の怪物フンババが、古代シュメールの王ギルガメシュの盟友であり、半獣半人の英雄エンキドゥの幼いころの友人であった事など、神話の登場人物に関する背景を補間するものとなっているという。




 『ギルガメシュ叙情詩』は古代シュメール王朝の王、ギルガメシュを主人公とした神話。ギルガメシュがあまりに傲慢であったため、女神アルは粘土から半獣半人のエンキドゥを作り出し、地上に送り込んだ。エンキドゥは人並み外れた大きな体と強靱な肉体を持ち、「人も国も知らず」「カモシカと共に草を食べる」人の理(ことわり)が通じない野蛮人であり、王に従わず自由に生きていた存在だったという。彼はこの頃にフンババと知り合っていたようだ。後にエンキドゥは人としての分別を得てギルガメシュと対決し、以降は無二の親友となる。

 フンババは全身を硬い鱗に覆われ、手はライオン、足の爪は鷲、頭には牛の角を生やし、尾と男根は蛇という怪奇な姿の巨人だった(巨人ではなく、ドラゴンまたは精霊であるという言い伝えもある)。

 炎と毒の息を吐き、洪水を呼ぶこの怪物は神の森の守護者であった。フンババの守る森にはスギが生えており、ギルガメシュとエンキドゥは自らの名を歴史に残すためにフンババに挑み、スギを奪おうとした。フンババとギルガメシュ達の戦いの詳細は記されていないが、ギルガメシュの守護神、シャマシュの吹かせた8つの風に動きを封じられ、フンババはギルガメシュ達に降伏することになったという。




 フンババと対峙する時、ギルガメシュは「私が倒れても、私は私に名声をもたらすだろう」「私の子孫が私の家に生まれる後々まで」と自らの行動を歴史に残すことを宣言している。これはギルガメシュ叙情詩を遺した5千年前の人々が、記録に遺すことの重要性を理解していたと考えられる発言でもある。

 そしてギルガメシュの言葉の通り、古代シュメール人の営みと彼らの語る神話は数千年後の未来まで届き、現代の我々を楽しませてくれているのである。

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The Epic of Gilgamesh Full Book

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

※写真はYOUTUBEからのキャプチャ


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