※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
今年は台風が連続して発生し、各地で水害も発生している。
妖怪ウォッチ2では、主人公の住む町を襲った異常気象の台風に潜むボス妖怪「台風の目」が登場していた。
台風の妖怪らしく、非常に強力な風属性の技を繰り出してくる。姿も独特で、空で渦巻く雲から一つ目の巨人が上半身を下界に向かって突き出しているというものだ。
現代のように科学が発達しておらず、台風や天候の変化がなぜ起きるのか知らなかった昔の人は、嵐などを神様や妖怪の仕業だと考えていた。台風の目のように、現代では正体は台風や竜巻ではないかと考えられている伝説がある妖怪も存在する。
それが一目連だ。一目連は三重県や愛知県に伝わっている一つ目の妖怪であり、風の神様である。
一説には一つ目の竜の姿をしているとされており、一目連が向かうところには必ず激しい暴風雨が起きる。しかし、一目連が過ぎ去った後は一転して穏やかな晴天になるとも言われており、人々は一目連に静まってくれるようお奉りすると同時に、雨乞いなど天候に関するお祈りを捧げていたのである。
また、一目連による被害は大きいものの範囲は非常に狭いことが多いという。江戸時代などの記録から推測すると、現代で言う竜巻の被害だったと考えられるケースが多いため、長く立ち上る竜巻の姿を龍の体に見立てて妖怪としたのだろうと考えられている。
そう言えば、竜巻も台風も渦を巻いているため中央には穴がある。一目連や台風の目の一つ目はここから来ているのかもしれない。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)