先日、タレントのタモリ氏が「卓球は根暗だ」と発言し、それを聞いた卓球協会が台の色を緑から青に変更するなどイメージアップを図る活動を行っていた。
その事を知ったタモリ氏は、「根暗と発言して悪かった」と謝罪し、卓球協会に1000万円を寄付した事が、TBS系列で今月26日に放送された『林先生が驚く初耳学』に出演したリオデジャネイロ五輪卓球シングルスの銅メダリスト水谷隼選手の口から明らかとなり、話題となった。
これによりタモリ氏は、世間に卓球=根暗というネガティヴイメージを広めてしまったと非難されたが、本当にそうだろうか?
筆者が知る限り、今回の騒動が起こる以前に、卓球のマイナスイメージを世間に植え付けてしまった漫画作品が存在していたのだ。
その作品とは『週刊ヤングマガジン』で、古谷実氏が1993年から1996年まで連載していた『行け!稲中卓球部』である。
本作は、稲豊市にある稲豊中学卓球部に所属する部員たちの日常を描いたギャグ漫画であり、アニメ化もされ当時一世を風靡した。
しかしながら、タイトルに「卓球部」と 冠するものの、本編では卓球の描写はほとんど無い上に、出てきたとしても卓球のイメージを辱める物が大半を占めている。
例えば、本作の主人公・前野(名前は作中では明らかにされていない)の必殺技は、短パンの脇からはみ出た男性自身を対戦相手に見せて、動揺した隙にポイントを獲得する「はみちんサーブ」であったり、ヒロインの岩下京子と1年間セックスし放題のフリースケベ券欲しさに、試合にやる気を出したりなど、といった有様である。
極めつけは、単行本第4巻に登場する卓球部に入部希望者の田原年彦(ニックネームはトシちゃん)というキャラクターがいるが、入部を諦めた彼は去り際に「卓球をやってる人たちって暗いみたい」という旨の発言をしていることである。
当時は、今ほど卓球が世間で話題になっていなかったという事情もあり、これらの描写は「卓球を馬鹿にしてる」と騒がれなかった。
だが、もしも現在連載中の漫画だったら、『行け!稲中卓球部』は大バッシングを受けていたであろう。
平山賢司(サブカルライター)(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)