未確認生物の目撃情報の中には、非常に特徴的で大きさなどの情報がしっかりと記録されているにもかかわらず、以降の目撃証言がないために記録に埋もれてしまったものも多数存在している。
19世紀にオーストラリアのニューサウスウェールズ州にて目撃された、巨大生物の記録もその一つだ。
1893年、ニューサウスウェールズ州のブレードウッドからキャプテンズフラットまで、馬車で飲料水を運んでいたアーサー・マリン氏は奇妙な生物と遭遇した。
一緒に馬車に乗せていた愛犬が、何かの気配に気が付いたのか道中で急に吠え始めたため、彼は一度馬車を停めた。すると、路肩の下草から今まで見たことのない生物が襲いかかってきたのだという。
牙を剥き出しにして襲いかかってきた生物から逃げようとしたが、路肩は急な斜面になっていたため、このままでは命が危ないと思った彼は、傍らにあった大きな石を掴んで生物の頭を殴りつけた。
倒れ伏した生物に、手にしていた馬用の鞭で殴打を繰り返したところ、気が付いたときには生物は息絶えていたという。
彼はこの生物の死体を馬車に積み、到着した街で生物の正体を知る人がいないか広く訊いてみたが、誰も見たことのない生物だったという。
後に、彼の体験は地元の記者の手によって新聞記事となった。その記事によれば、生物の大きさは約1.3メートル、重さは約44キロで顔はホッキョクグマのようだったという。
足は非常に頑強で、毛皮は黄褐色でたてがみがあったという。まるでライオンと熊を混ぜたような姿だったようだ。
オーストラリアであれば、当時は有袋類の猛獣であるフクロオオカミが現存していたが、フクロオオカミは記録写真を見ても解るとおり非常にスリムであり、顔も狼や犬に似ている。そのため、フクロオオカミの誤認という訳ではないようだ。
果たして、この生物の正体は何だったのだろうか。
もしかすると、当時はオーストラリア大陸に我々の知らない有袋類が棲息していたのかもしれない。
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(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)