2004年春、和歌山県田辺市の富田地域、田植え前だった田んぼの土の上に、明らかに四足歩行をする動物のものや人間のものとは違う異様な足跡が現れるという事件が起きた。
足跡の大きさは縦横15センチ程度で、若干縦のほうが5センチほど長いものがあった。
歩幅は約60センチ程度、左右にややズレが生じているがほぼ一直線に続いているという特徴的なものになっている。
人間が歩いたものであれば普通、左右2筋の足跡が残る。それは四足歩行の生物の場合も同様であるし、生物によっては前足と後足で足型が違うケースもある。
今回のように全く同じ足跡が一直線に続く事はありえない。類似の足跡をつける動物としてキツネの可能性も考えられたが、足のサイズも歩幅も大きすぎる。
果たしてこの足跡を付けた生物は何だったのか?
この足跡は二度にわたって確認され、地元の新聞紀伊民報にも掲載された。
そこでは地元の猟友会に所属する人物が「カシャンボの仕業とでも言うしかない」と証言している。
「かしゃんぼ」とは大きな一つ目と一本だけの足が特徴で、山に住み、時には人を襲うこともあるという妖怪だ。
「一本だたら」という妖怪の名前を聞いたことのある人もいるかも知れない。かしゃんぼはこの一本だたらの、別地域での呼称ともいえるものなのだ。
なお、この人物は父親から聞いた話として「(かしゃんぼは)昔、山仕事をしているとよくいたずらしに来る」と述べていた。また、人をさらうなどの話が無いため、決して悪い妖怪ではないとも答えている。
はたして、2004年の足跡事件の主は本当にカシャンボだったのだろうか。
同様の足跡が発見されたという事例はしばらく報告されていないが、もしかするといずれ足跡だけでなく全身も我々の前に現してくれるかも知れない。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
※イラストはSel氏より