インドを震撼させたUMA事件と言えば、「モンキーマン騒動」である。
インドの首都・ニューデリーを中心に、2001年4〜5月にかけて出没したUMA「モンキーマン」による人間襲撃事件である。
この怪物は、その名のとおり猿に形状が似ており、1・5〜1・8メートルほどの体長であった。上半身は毛深く、金属のヘルメットのような帽子を被り、ズボンを着用し、鋭利な金属製の爪を持ち、夜陰に紛れて出現しては、屋根づたいに移動するのが行動パターンである。
胸の上に3つのボタンがあったとか、目は赤く光り、緑の光を伴っていたというビジュアル情報から動物型ロボットやサイボーグ化された動物ではないかという仮説もあった。
猛暑のため、屋根の上で睡眠中の住民たちに噛みついたり、引っかいたりして襲いかかったと言われている。モンキーマンの攻撃により死亡した者はいなかったが、慌てて屋根から落下し死亡した事例が出ている。
出現した当初は現地語で「バンダル・マーナブ」と呼ばれており、地域によっては「ベアーマン」「ひっかくUFO」「ムノチュア」とも呼ばれていたが、世界的には「モンキーマン」という呼称が定着した。
最も早い時期に発生した事件は、2001年5月13日にモンキーマンの襲撃により、市民15人が打撲や刺し傷で負傷したケースである。
02年2月と7月、2回にわたり、ニューデリーでは、まさに動物型ロボットとも思える目撃事例もある。赤色と青色に輝くサルのようなマシンを見たという証言があるのだ。となると、米国で騒がれた3メートルの宇宙人的な怪物であろうか。
事件の発生当時は、あくまで群集心理が生み出した妄想であるという説が唱えられていた。確かに21世紀に入り、急激に経済が発達し、貧富の差が拡大したインド社会の根底には不安が広がっていたのは事実である。
モンキーマン騒動の結果、地元警察が動員され、パニックの収束に力が注がれた。なんとモンキーマンの身柄確保に対して賞金さえかけられた。放浪していたとあるヒンドゥー・サドゥーはモンキーマンと間違えられ、暴徒に半殺しにされてしまったと報道されている。よほど、猿に似たご仁だったのだろうか。
このモンキーマンの正体に関しては、様々な説が推理された。
宇宙人が遺伝子工学で猿を改造したエイリアンアニマル説、猿まわしの猿が逃走したという説、政府が密かに開発し、遺伝子工学で生まれた怪物が暴れたという説。マスクをかぶった猿に似た人間のいたずら説やはり、政府発表の集団ヒステリーという説などが囁かれている。
このモンキーマン騒動の真相だが、そのビジュアルが、1953年にフィル・タッカーが製作した「ロボットモンスター」という映画に出てくるキャラクターが潜水ヘルメットと猿のスーツを着ており、モンキーマンと似ている点がみそである。また、フィル・タッカー・ジュニアが父親の傑作をリメークするために01年に製作発表した途端にこの騒動が起きており、あまりの偶然の一致に“映画のプロモーション”ではないかという声も上がっているのだ。
モンキーマンはやり過ぎた映画のプロモーションではなかったのであろうか。
関連動画
India’s Most Elusive Monster: The Monkey Man Documentary
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
※写真はイメージ