これは筆者が苦しめられた心霊スポット体験の中のひとつである。
千葉県船橋市には、通称「ダルマ神社」という心霊スポットがある。ダルマを使って呪いの儀式が行われているとか、生首が浮遊しているとか、噂される場所である。
この場所は詳細な住所が不明であった。
2002年、船橋ケーブルTVで放送された「山口敏太郎の心霊ツアー」で、偶然の発見に至る探索模様が放映され話題となった。
船橋市民の森付近にある、小さな神社にダルマが奉られている。それが「ダルマ神社」である。しかも、奥の院には古井戸があり、その井戸には怨霊が住んでいるというのだ。
TVクルーと筆者たちは数時間に渡り、探索を行い、疲労がピークに達した深夜2時頃、付近にあった小さな某神社でダルマを奉る社が発見された。
「おい、あれってダルマじゃないのか」
筆者の指摘にTVクルーや、筆者のマネージャーである妻も凍りついた。
その瞬間、照明が消えるというトラブルが発生し、一時撮影車は撤退。発見シーンは再び撮り直しとなった。
それにしても、暗闇にボーッと浮かぶ古ぼけたダルマの姿は、今も印象的である。
2002年には見つける事が出来なかった「ダルマ神社」奧の院にあるといわれる井戸を、翌2003年の「山口敏太郎の心霊ツアー2」で再度捜索しようとした。
かなり奥地まで探索したが、結局、井戸は発見は出来なかった。
ただし、一カ所が見た感じ井戸に見える場所があり、これがダルマ神社には井戸があるという都市伝説を生んだのであろう。
尚、霊能者あーりんさんの霊視によると、心霊スポットというほど霊の波動の強い場所ではないという。
しかし、この撮影の時、筆者の妻が奇妙な声を聞いた。
ダルマ神社の正面に車を停めて同所に潜入したのだが、車を降りる時に思わず、コケそうになったという。
その時、こんな声が背後から聞こえた。
「大丈夫?」
「いえ、大丈夫です。すいま…」
振り返った妻は言葉を失った。背後には誰もいなかったのである。
その話を聞きながら、探索をしていた我々は不気味なものを感じた。
しかしながら、どうにか井戸らしきものも含め、撮影が完了した。
すると突然、パトカー数台に分乗し、警察官が大勢やってきた。
「君たち、ここで何やってるの?」
「すいません、TVのロケです」
警察官の質問に皆で謝りながら撤収した。
「何であんなに大勢来たのかな。なんか敏感すぎるね」「さあ、なんか犯罪でもあったのかね」
帰る車内でTVクルーと筆者は歓談していた。すると、TVクルーの一人が、突然こう言ったのである。
「あっ、なんで警察があんなに来たかわかった」「ええっ?!どういうこと?」「あの神社の前って、オヤジ狩りにあった大学生が殺された場所なんですよ。だから、また何か犯罪でもあってはいかんと敏感になってるんですよ」
確かにその頃、ある大学の学生が、県民の森付近で殺されたという報道があったが、まさか自分たちがロケ車を停車した場所だとは思わなかった。
「そうすると、あたしに声をかけたのって…」
妻の一言に誰もが口をつぐんでしまった。
こうして、私の体力も限界に近づいた深夜2時過ぎ、過酷な2年目の「心霊ツアー」が終わった。
その日以来、1ケ月間、山口は喘息の持病に苦しむ事となった。
いやはや、仕事とはいえ、魔界に深入りは禁物である。と同時に、心霊スポットと犯罪の関連に興味を持った。
心霊スポットと噂される場所に、何故か犯罪者は引き寄せられるようである。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)