昭和基地、南極ゴジラ0(ゼロ)号事件

日本で知られている南極の怪物としては、1958年(昭和33年)2月13日に昭和基地沖のリュツォホルム湾で観測船「宗谷」に目撃された「南極ゴジラ」が有名である。

その南極ゴジラは海で泳ぐ姿の目撃談だが、実は前年(1957年2月~)に開始された第一次南極越冬隊に目撃された、陸上を歩き昭和基地に迫った別のゴジラのような巨大怪獣への目撃談がある。




昭和基地に巨大怪獣が歩いて迫り来る恐怖は、後のテレビ映画『ウルトラQ』の怪獣ペギラの南極基地襲撃を彷彿とさせる。なお、当時の越冬隊は、ペギラ攻撃に流用されたような観測用ロケットは、まだ持ち込んでおらず、武器に使えるものはライフル銃しかなかった。

今年(2016年)は『ウルトラQ』放送から50周年。これを機会に実際にあった巨大怪獣事件を報告しておきたい。

帰国した第一次越冬隊員による「アサヒグラフ(臨時増刊1958)」(発行=1958年4月25日、朝日新聞社)掲載の『一年間の南極ぐらし・越冬隊員の座談会』に報告されている。

発言は、地質・犬ゾリ担当の菊池徹隊員である。




《怪獣あらわるというのがありましたネ。前世紀の、ゴジラみたいなでかいのが、のこのこ基地の方へ歩いてくる。みんなで大騒ぎしたんですが、いくらたって も近寄ってこない。動く動くというから、測ったら動いていないというし……とどのつまりは、大陸にでている露岩が、シンキロウで動くように見えたという結論になりました。》

以上で全文である。

南極で体験した七不思議に関する発言のうちの一つだが、日本への帰国後の回想だから、苦笑の対象になっている。しかし、学者や技術陣が大騒ぎとなったのだから、正体が判明するまでは緊迫したのであろう。

私は、宗谷の「南極ゴジラ」目撃に先行するこの怪物を「南極ゴジラ・0(ゼロ)号」と仮称し分類したい。約60年前の他の隊員の手記などに、さらなる記載があれば御一報願いたい。

【画像説明】第一次越冬に向け建設中の昭和基地(撮影:戸谷洋?)

(多喜田昌裕 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)


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