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邦画最大のミステリー!? 『犬神家の一族』スケキヨの目の歴史にヒコロヒー迫る

2月15日放送の『私のバカせまい史』(フジテレビ毎週木曜日 21:00)は、横溝正史原作の『犬神家の一族』から《スケキヨの目》を特集。

これまでの歴代8作品のスケキヨを演じたのは下記の俳優陣。

 1 1976年 あおい輝彦
 2 1977年 田村亮
 3 1990年 石黒賢
 4 1994年 椎名桔平
 5 2004年 西島秀俊
 6 2006年 尾上菊之助
 7 2018年 賀来賢人
 8 2023年 金子大地

彼らの写真を見比べるスタジオの出演者たち。すると、ここでバカリズムが「目の大きさが毎回違う」と指摘。特にあおい輝彦(1976年)、尾上菊之助(2006年)のスケキヨマスクの特徴は『他の作品と比べて目が大きい。目の周りに黒いメイク』である。

では、なぜ目が大きいのか?

調べていくと2006年監督補の手塚昌明さんから証言を得た。手塚さんは「2006年のスケキヨマスクを僕が持っています」と発言。

そしてそのマスクを見せてもらうと・・・耳の部分からただれるように溶けているように自然崩壊していた。しかし、大きな目は健在だ。

この大きな目のスケキヨマスクを作ったのは、1976年と2006年の両作品のメガホンを取った日本映画界の巨匠、市川崑監督である。

では、なぜスケキヨの目が多きいのか?1976年装飾担当の市丸洋さんに聞いた。すると、市丸さんが1976年の台本を見せてくれた。

その中に目に関するト書きが2カ所。

 ・氷の様に冷たく
 ・空虚

と、目で表現する細やかな感情が書かれている。

市丸さんによると、「市川さんはこだわりが結構ある。現場で目をもうちょい何とかしてくれと言われ、安丸さんを呼んで大きくしてもらった」と回想。

安丸さんとは、ゴジラを造った男“美術界のレジェンド”安丸信之さんの事である。

安丸さんの市川監督とスケキヨの目についての話は、「初めは目の形など俳優の目の形に一致した切れ長の穴を望んでいたが、何度も作るうちにポッカリ切り抜いた穴でもこれはこれで悪くないと考えが変わった。その方が不気味じゃないかって。穴が大きいと役者が目を見開くと表情の違いが出る」と紹介。




スケキヨの目を大きくしていたのは、市川監督の目の演技への執着からと解説。さらに、2006年にスケキヨを演じた尾上菊之助は
「歌舞伎の舞台ではスケキヨの様なマスクを被る事はなかったので、声と目だけで感情を表現する事は難しくもあり挑戦でした」と語った。

バカリズムが「スケキヨ側の気持ちを考えたら見せたくないから目を小さくしたいかもしれないが、演出的には目をおっきくした方が目の演技が見えるからと言う事ですよね」と言うと、ヒコロヒーが「この目の演技への執着だったんですよね」と付け加える。

この日のゲスト、いとうせいこうは「これは日本映画史に残る事を発掘していますよね。この番組はどうなっちゃったんですか?」と茶化しながらも感心。

そして、1976年にスケキヨを演じたあおい輝彦は「市川監督からスケキヨの異様な雰囲気を出すため色つきのコンタクトレンズをつけようと打診されたが自分の目の演技で見せたいとその申し出を拒否し、妖気が漂う目の表現をする演技を心がけた」とコメントしていた。

(辻伊織 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 おと おと / photoAC